原状回復工事費用について疑問をお持ちでも適正価格が判断できず、なんとか相場を掴もうとしていないでしょうか。この記事ではどのように原状回復工事費用が決定されるか、また適正価格で発注するためにどう進めるべきか、について解説します。
原状回復工事費用の相場

原状回復工事の適正価格は概ね5~10万円/坪の範囲になりますが、下記のような様々な要素が影響するため、坪単価だけでの判断は適切ではありません。
- 賃貸借契約書によって原状回復工事範囲の記載がされているものがある
- 原状回復範囲が借主の使用方法や経年劣化具合により異なる
- 借主が行った内装仕様変更により原状回復工事範囲が変動する
- 施工者により、各工事の単価や経費率が相違する
- 施工者により下請け業者の構成が変わる
- ビルグレードにより仕様が変わる
- 同ビルでも1,000m2の貸室と、100m2の貸室では坪単価が相違する
- 原状回復するにあたり、入居当時の品番が廃盤、もしくはアスベスト含有製品で使用不可となる場合は代替品に変更が必要
- 近年、建材費が軒並み高騰した
etc.
実際に原状回復工事が必要な範囲と内容、それに該当する工事見積書の内容を比較しないと試算を大きく間違える可能性がありますので注意が必要です。(店舗等、同規模・同仕様の案件を毎年複数件、出退店をしている場合は、類似案件の坪単価と比較する手法は一定の目安になります)
仮に坪単価を根拠に施工者側へ協議を持ちかけた場合、施工者は工事金額に対する減額の必要性を感じず、協議結果は思わしくない結果となるでしょう。また、工事内容と工事見積金額が妥当にも関わらず、根拠のない金額を提示してしまうと、施工者との関係性を悪化させてしまい、同貸主や同管理会社の物件に入りづらくなるといった目に見えない不利益を被る可能性があります。
弊社では、
- 工事見積書の内容確認
- 協議による削減余地の有無
を無料診断しておりますので、工事金額について疑念をお持ちのものがございましたらお気軽にお声がけください。
原状回復工事費用はどのように決定されるのか

まずは賃貸契約書をご確認ください。
- 原状回復工事の範囲と内容(場合によっては数量も)が記載されている
- 原状回復工事費用が記載されている
といった契約書もあります。
上記のような特殊な場合を除き、貸主(殆どの場合が管理会社が代行)と施工者にて原状回復工事範囲を確認するために現地調査を行い、工事範囲や損耗具合を確認をし、施工者が原状回復工事の見積書を作成します。現地調査結果を踏まえて施工者から工事見積書が借主に提示されます。(管理会社を経由する場合もあります。)この見積書を基に、工事範囲、工事内容、工事金額を借主が施工者や管理会社と協議を行い確定します。
※賃貸契約書に原状回復工事の内容が明記してある場合も協議によって変更が可能になる場合があります。
原状回復工事費用が相場より高くなる理由

原状回復工事のB工事は、原状回復工事金額の費用負担者は借主ですが、施工者は貸主による指定業者です。工事費用を負担しない借主が発注先の決定権を持っているために競争原理が働かなくなってしまうのです。
貸主としては、所有物件の資産価値に影響する施工者の選定になりますので、費用よりも品質を重視したいと考えます。一般的には、瑕疵担保責任の観点からビルの施工者が指定業者となりますので、大型物件であればスーパーゼネコンへの特命単独発注となります。
施工者においては、過大な施工範囲、過大な工事金額の見積書を提示しても採用される可能性が高いため、適正価格を提示しない場合があります。また、不当に高額な金額を提示する意図を施工者が持っていない場合でも、着工後に予期しなかった問題が起きて工事費が嵩み利益減少してしまわないように、予備費を含めた原状回復工事の見積書を提示することがあります。
適正な価格で原状回復工事を行うための業者の選び方

B工事は貸主指定業者であり、原状回復工事見積書が提示されてから工事契約締結までの期間では全てを行う事が難しい場合があるため、案件に合わせて効果的な部分を行うべきではありますが、全体的な流れを記載すると以下のようになります。
賃貸借契約書に記載されている原状回復工事についての内容を確認
↓
貸主側と原状回復工事の内容が適正かどうかの協議
↓
貸主側とB工事/A工事の振分け協議
↓
貸主側とB工事/C工事の振分け協議
↓
C工事業者への見積徴収と工事工程の確認
↓
B工事業者(指定業者)へのC工事の工程調整
↓
B工事の見積書内容精査
↓
B工事業者(指定業者)との工事内容と工事金額について協議(弁護士との協議も含む)
※店舗の場合は原状回復工事を行っても後継テナントがまた改修工事をする場合が多いため、居抜き物件として原状回復工事を行わない、もしくは一部のみ行う「造作譲渡」という手法があります。
工事量が減るので借主にとってはメリットがありますが、後継テナントにとっても初期費用が少なくて済むため入居しやすく、空室リスクを減らせる事から貸主もこれに応じるメリットがあります。賃貸契約書の内容と異なる場合でも、貸主へ相談する価値はあります。
まとめ
原状回復工事費用は適正価格で見積書が提示されにくいですが、相見積もりの取得が困難なため相場との比較による協議を行う事は難しいです。一方、工事内容や工事金額の査定、工事区分の協議を専門的な知見が無い方が期間が限られる中でやり切る事も難しいでしょう。
弊社は、公共工事の入札予定価格の算出や建設会社の原価削減、スーパーゼネコンでの施工管理者等、「施工」「積算」といった分野の第一線で活躍した人材が専任で原状回復工事のコスト削減コンサルティング業務を行っております。見積書の診断は無料で行っておりますので、是非お声がけいただければと思いますお気軽にお問い合わせください。