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脱炭素経営とは?脱炭素企業になるためのポイント

世界中で多発している異常気象の「地球温暖化」や「気候変動」。パリ協定(COP21)を機に、この異常気象はCO2をはじめとする温室効果ガスが原因だという認識が広まり、CO2排出を抑制・削減しようとする「脱炭素」の動きが高まっています。そこで今注目されているのが「脱炭素経営」そして「脱炭素企業」というキーワードです。

この記事では、なぜ脱炭素経営・脱炭素企業が注目されているのか、その理由と、脱炭素経営を行うメリットや取り組み方についてわかりやすく解説します。

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脱炭素経営・脱炭素企業とは

「脱炭素経営」とは、事業活動全体におけるCO2排出量削減など、脱炭素の考え方に基づいて企業が経営戦略や事業方針を策定することです。また、その取り組みを実施する企業を「脱炭素企業」と呼びます。

近年、ゲリラ豪雨や台風の大型化、かつて経験したことがないほどの猛暑など異常気象が世界中で発生しており、その背景には急速に発展した人間社会が関係しています。

産業革命以降、石炭や石油が大量に採掘され、エネルギー源として消費されるようになってからCO2排出量が急増したためにこのような異常気象が発生しているとされています。この問題は人間の生活だけでなく、地球環境、そして全ての生き物に大きな影響を与えてしまう重要課題であるため、世界中で早急な解決が必要です。

日本で発生する温室効果ガス排出量のうち78%は、企業や公共事業が発生源であり、国や地方自治体だけではなく企業にも脱炭素の協力を求める動きが強まっています。

SDGsで掲げられている13番目の目標「気候変動に具体的な対策を」において脱炭素は欠かせない取り組みです。世界で脱炭素の動きがある中、日本でも、政府がカーボンニュートラル宣言をするなど、国としての脱炭素への取り組みを加速させています。

脱炭素経営において、重要なキーワードが次の3つです。

  • TCFD:各企業の気候変動への取り組みを具体的に開示するための基準を提供する機関
  • SBT:企業が制定する温室効果ガス排出削減目標のこと
  • RE100:企業が行う事業活動全体で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うこと、またそのイニシアチブ

(出典:環境省HPより

各機関や団体において、日本の賛同企業数や認定企業数はどれもトップ3に入っており、日本企業における環境への取り組みはさらに加速していくとみられます。

脱炭素企業になるメリットとは

世界中で対応が急がれる脱炭素化、脱炭素経営ですが、脱炭素企業になるメリットとして、以下の3点が挙げられます。

  • 企業価値向上
  • 優位性の確立
  • エネルギーコストの削減

企業価値向上

これは企業が成長戦略の一つとして脱炭素経営を行うメリットであり、認知度アップや売上機会獲得につながるものです。

SDGsの考え方が浸透し始めた今、新たに「社会貢献」や「環境に配慮しているか」が商品やサービスを選ぶ基準とする消費者も少なくなく、こういった消費者をターゲットに置く企業が徐々に増えています。

優位性の確立

これは、企業が脱炭素経営に取り組むことで銀行からの融資が受けやすくなったり、補助金などが活用できたりするといったメリットです。

日本政府は企業の脱炭素化を支援するため、脱炭素経営を行う企業や事業者に対して「補助金・支援制度」を設けています。

また、投資先の選定基準としても脱炭素を重視する考えが広まっているため、環境に配慮した取り組みを行うことにより銀行や機関投資家からの評価を得ることができ、融資を受けやすくなります。

(出典:我が国企業の脱炭素化に向けた取組状況―アンケート調査の分析結果の概要―

また、SDGsが求められる昨今、地球環境を考えた設備に対して投資する「グリーン投資」が増えています。内閣府の調査によると、省エネや再エネ設備への投資のほか、その考えを研究やサービスに反映する企業が全体の約半数(調査不明企業を除く)を占めていることが分かります。この考えは、社会に浸透することによってより加速していくことが分かります。脱炭素企業が当たり前に評価される日が、近づいていると予想できます。

エネルギーコストの削減

企業が脱炭素を目指すための代表的な施策は、以下の4つが挙げられます。

  • 生産ロスの削減
  • 再生エネルギーの利用
  • 省エネ
  • カーボンオフセット

その中でも、ノウハウが少ない企業でもすぐに実施できるのが「省エネ施策」です。SABC評価制度における調査をみると、すでに9割の事業者が省エネ対策を行っていると回答しています。

全拠点のLED化や冷暖房効率を上げる設備投資などの省エネ対策を行うことで、建物全体の電力使用量を減らすことができ、その分電気料金やCO2の削減に寄与します。

設備投資も初期コストがかかってしまう場合もありますが、中長期的なランニングコストを考えれば大幅なコストダウンにつながることもあります。

また、2点目に挙げている補助金の活用によって、初期投資費用を抑えられる場合もあるので、現在は導入コストが下がり、施策を開始する企業が増えつつあります。

脱炭素経営への取り組み方

脱炭素経営が加速している日本で脱炭素企業になるには、まず、どのような経営方針を立てるのか決めることが重要です。その取り組み方を検討するため、ここでは今までに実施された脱炭素企業の活動例を3つ紹介します。

  • 再エネ利用
  • 環境に配慮された製品の購入
  • カーボンオフセット導入

中小企業向けの脱炭素経営の取り組み事例は、環境省から交付されている「中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック」にも詳しく紹介されています。ぜひチェックしてみてください。

再エネ利用

脱炭素の対策としてよく目にするのが「再生可能エネルギー(再エネ)」の利用です。太陽光、風力、地熱など自然の力を利用して発電された電力を使用することを指し、近年では複数の企業が共同で再エネ設備への投資を行うなど、注目されているエネルギー源です。

中でも注目されている再エネ利用として電機系販売契約、通称「PPA(Power Purchase Agreement)」というものがあります。

これは初期投資0円で自社ビルや工場の屋根、自社保有の遊休地などに太陽光パネルを設置し、その発電分を自家消費することで全体の電力消費量の何%か自社内で賄うことができるというものです。

太陽光パネルを自分で設置しようとすれば、膨大な初期投資やランニングコストがかかります。一方、PPAモデルでは費用を負担せずに設置できることに加え、設置された太陽光パネルを用いて発電された分は環境価値として認められるため、多くの企業や団体がPPAを活用しています。

環境に配慮された製品の購入

近年では、CO2の排出を抑えた製品が登場しています。その中でも多くの企業と関わりがあるのが「建築物の電気・空調設備」です。この製品は以前までの製品と比べて次のような進化を見せています。

  • 電気:白熱灯からLEDに進化(電力消費量の削減、CO2排出削減)
  • 空調設備:従来のただ送風を行う機器から稼働状況を監視し温度調整を行う機器に進化

環境に配慮した製品は、既存のものと取り換えるだけで簡単に脱炭素化を行えます。コスト負担が小さいという魅力があるため、簡易的にCO2を抑制・削減できる対策として多くの企業が取り組んでいます。

また、企業活動で必要となる自社商品の製造に必要な素材や、移動で利用する燃料を脱炭素製品に変更することも環境配慮に欠かせません。近年では、CO2排出量が多いガソリン車から、リチウムやコバルトを用いた電気自動車へ買い替える企業も増え、製造素材もエコ対応のものが多く選ばれています。

日本の温室効果ガス排出量のうち約80%が企業・民間事業が関わっていることから、環境配慮製品の利用は、国内の脱炭素化を促進してくれるでしょう。

カーボンオフセットの導入

排出されるCO2を削減し、プラスマイナスゼロにすることを目標とした「カーボンニュートラル」、これが脱炭素社会を作る目標です。一方、CO2を削減するだけでなく、CO2を吸収して埋め合わせするという目標である「カーボンオフセット」を行う企業も増えています。

カーボンオフセットに関する詳しい取り組みは環境省で公開されており、次のような対策が実施されています。

  • 自己活動オフセット(自動車移動の削減等)
  • 会議・イベント開催オフセット(コンサート設備の不要電力を削減等)
  • 商品使用・サービス利用オフセット(製造・使用・廃棄の無駄を削減)

またカーボンオフセットには「Jクレジット制度」と呼ばれるCO2などの温室効果ガスの排出削減量および吸収量を国が認証する制度が設けられています。この制度を利用して環境証明書を発行すると次のような効果がみこめます

  • 設備投資の一部をJクレジットの売却益で補える
  • 地球温暖化対策への積極的な取り組みを実施する企業であるとPRできる
  • 省エネの取り組みを数値化することにより、地球温暖化対策への意識改革につながる

カーボンオフセット、その中にあるJクレジット制度を利用することによって、売却益を利用して設備投資費用のコストを抑えられる魅力を含め、多くの企業・団体がカーボンオフセットに取り組む姿勢をみせています。

まとめ

以上のとおり、脱炭素に向けた取り組みは世界の重要な課題であり、企業における脱炭素化が急がれています。

脱炭素の取り組みや自社で行うべき脱炭素化についてより詳しく知りたい等のご要望がございましたら、ぜひプロレド・パートナーズにご相談ください。

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