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2017.04.01
【連載】『シニアビジネスマーケット』4月号に「財務にインパクトを与えるコスト削減」第6回が掲載されました

シニアビジネスの経営情報誌『シニアビジネスマーケット』4月号に「財務にインパクトを与えるコスト削減」第6回が掲載されました。

シニアビジネスマーケット第6回_都市ガス_

出典:シニアビジネスマーケット4月号

第8回「高齢者向け施設におけるガス料金の削減(都市ガス編)」

都市ガスの自由化とは?

2007年以降、都市ガスの年間消費量が10万立方メートル以上(ビジネスホテルや温水プールよりも大規模な施設)ではすでに自由化されており、地域の都市ガス会社(東京ガス、大阪ガス等)だけでなく、電力会社(東京電力、関西電力等)をはじめとする都市ガスの供給が可能な企業との相対契約により、自由な価格設定が可能となっています。
一方で、年間消費量が10万立方メートル未満の施設や一般家庭では、それぞれの地域の決められた都市ガス会社と契約するしかなく、東京23区なら東京ガス、大阪市なら大阪ガスといったように、地域ごとに都市ガス供給を独占している企業が存在しています。
とくに1万立方メートル(介護施設をはじめ、飲食店や物販店規模)以下の施設に関して、ガス関連機器(ガス空調やコジェネ・システム等)を導入していなければ、最も割高な一般ガス料金(一般ガス供給約款)を支払っていることがほとんどです。日本の一般的な都市ガス料金は海外の主要国と比較してもまだまだ高い水準にあり、米国と比較すると2倍近い開きがあります。※主要国間での都市ガス料金比較(日本を100とした場合)日本:100 ⇔米国:57、英国:73、ドイツ:85(消費者庁 平成26年調査より)
2017年4月からの都市ガスの全面自由化によって、使用量に関わらず、ガス会社以外の企業を選択することが可能になり、企業間の競争によって料金水準の低下やサービスの向上が見込まれていますが、具体的に「誰にとって、どのようなメリットがあるのか」を確認していきましょう。

介護施設や飲食店では最大30%のコストダウンも可能!

テレビや新聞などのメディアでは、家庭向けの都市ガスの料金改定が話題になっていますが、そのインパクトは金額で
みれば限定的です。たとえば大阪ガス管内の典型的な一般家庭を例にみると、現在:都市ガス月額料金4560円(年間5万4720円)(上記を関西電力の新プランに変更した場合)変更後:月額削減金額 ▲320円(年間▲3840円) ▲7・0%と、現状では年間でみても居酒屋の飲み代1回程度の削減効果にしかなりません。
実は4月からの都市ガス自由化で最も大きなコスト削減メリットが享受できるのは、家庭よりも年間消費量が1万立方メートル前後ある介護施設や飲食店(レストランや居酒屋)なのです。この消費規模の施設の場合、現状でも割高なまだ一般ガス料金が適用されている場合が少なくないため、今回の都市ガス自由化において、新規参入企業が着目しているタ
ーゲット顧客です。具体的な商業施設の条件を見てみましょう。※大幅な料金見直しの可能性がある商業施設

条件①都市ガスの年間消費量が1万立方メートル前後の施設
●介護施設、飲食店(レストラン、居酒屋等)、物販店、小規模な製造工場、等

条件②料金メニューがまだ一般ガス料金(一般ガス供給約款)のまま
●数万立法メートル以上であれば、別途割安な料金メニューが適用されている場合が多い

条件③50店舗以上を保有するなど、多店舗展開している場合
上記のような介護施設やレストラン/居酒屋の場合であれば、ざっと1施設年間100万〜150万円程度の都市ガス料金を支払っていますが、仮に一般ガス料金のままであれば、公表されているオープンな新料金メニューでも7〜10%(年間10万円以上)の削減効果が出ます。
また、仮に50店舗以上展開している法人企業の場合であれば、年間総額5000万〜7500万円の都市ガス料金を支払っています。この規模であれば都市ガス供給会社と直接交渉することで相対の単価条件を引き出すことが可能で、場合によっては20〜30%(年間で数千万円規模)の削減を実現できます(プロレド・パートナーズの「都市ガス調査結果 2017」より)

地域別での都市ガス戦争勃発!

国内で大手ガス会社管内ごとに電力会社が自由化に向けて先手を打ちはじめています(別表)。そのなかでも早くも価格競争が熱を帯びてきているのが、東京ガス管内と大阪ガス管内です。それぞれのエリアごとの最新動向を確認してみましょう。
SBM6が、東京電力はガス器具の保安業務をニチガスに委託する方針す。この協調体制が構築されれば、日本最大のLNG輸入量を誇る東京電力(約2300万tと東京ガスの2倍以上)は規模の優位性から価格競争力が最も高いため、今後さらなる料金の低価格化をリードできると予想されます。

(2)全国で最も早く仕掛けた関西電力。価格競争で大阪ガスと激突!
大阪ガスの都市ガス供給エリアは関西一円(大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山)に及びます。その都市ガス市場へ全国のどの企業よりも早く参入を表明したのが関西電力で、電気+ガスのセット販売を主軸として17年度中に20万件の顧客獲得を目指しています。
この「20万件」はちょうど1年前に大阪ガスが電力自由化への事業参入を発表した際に、初年度で関西電力から奪う目標顧客件数「20万件」と全く同数であり、まさになりふり構わぬ「関西電力VS大阪ガス」のバトルが繰り広げられているわけです。

(3)中部や九州北部でも電力会社が参入するも、まだ様子見段階
中部エリア(東邦ガス管内)には中部電力が、九州北部エリア(西部ガス管内)には九州電力が参入を表明し、すでに一般家庭からもメニュー切替えの申込受付を開始していますが、そこまで両社が顧客を奪い合う構造にはなっていません。歴史的な背景から、もともと中部電力⇔東邦ガスと、九州電力⇔西部ガスは結びつきが他のエリアよりも強く、共存を前提としてつながりが深いという背景があるからです。
以上が現在(17年3月時点)の都市ガス自由化前の実態です。ぜひ、介護施設を経営されている事業者は最大30%の料金引下げも可能となりますので、ガス料金の見直しに取り組んでみてはいかがでしょうか。

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