環境

水力発電はどのような仕組み?メリットや課題を簡単に解説

日本の産業発展や生活に必要な電気ですが、エネルギー供給においては、化石燃料による火力発電が70%以上を占めています。しかし現在、地球温暖化が世界中で叫ばれており、各国が対策に乗り出しています。日本も温室効果ガス削減のために、再生可能エネルギーの比率を高めて、化石燃料の依存から脱却しなければなりません。

水力発電は、再生可能エネルギーの一つであり、重要なエネルギー源としての位置づけがなされていますが、仕組みを知らない方も多いのではないでしょうか。この記事では、水力発電について解説します。水力発電の種類やメリット、今後の課題が気になる方には有益な情報です。ぜひ最後までお読みください。

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水力発電とは

水力発電とは、高い位置にある水を低い位置に流すことで、流れる時のエネルギー(位置エネルギー)を活用して発電機の水車を回して発電するものです。高低差があればあるほど位置エネルギーが大きくなるため、水の流れる勢いが強くなり水車を勢いよく回せます。

 

水力発電の発電所形式の種類

水力発電を、構造物による違いから分類すると、以下3種類の発電所形式に分けられます。

  1. ダム式
  2. 水路式
  3. ダム水路式

それぞれ詳しく解説します。

ダム式

ダム式は、川の水をせき止めて人工湖(池)を造り、その落差を利用して発電する方式です。川幅が狭い場所でしか設置できず、両岸の岩が高く、崖になった場所に建設します。水量の多いときはダムに水を貯めて、適切な発電量になるように、水位を調整しながら発電しています。

栃木県の川俣発電所や塩谷発電所などがダム式発電所形式です。

参考:東京電力リニューアルパワー公式サイト 水力発電所一覧

水路式

水路式は、川の上流に小さな水路を造り、発電できるほどの落差ができるところまで水を導き、その落差で水を流すことによる勢い(位置エネルギー)で発電する方式です。水は落下した後、元の川に戻ります。場所の選定が比較的自由であるため、設置しやすいのが特徴です。

群馬県にある佐久発電所や松谷発電所が該当します。

参考:東京電力リニューアルパワー公式サイト 水力発電所一覧

ダム水路式

ダム水路方式は、ダム式と水路式を組み合わせた方式です。ダムによってせき止められた水を、水路方式で落差のある場所まで水を導いて発電します。ダムによる貯水場所と、水路を用いた発電場所を別に出来るため、ダム式よりも建設できる場所の選択肢が広がるという特徴があります。

山梨県にある川茂発電所と長野県にある水内発電所などが挙げられます。

参考:東京電力リニューアルパワー公式サイト 水力発電所一覧

 

水力発電の運用方式の種類

水力発電は発電所ごとに適した水の利用方法が異なり、大きく分類すると、下記4つの運用方式で運用されています。

  • 流れ込み式
  • 調整池式
  • 貯水池式
  • 揚水式

それぞれ詳しく解説します。

流れ込み式

川に流れる水をそのまま発電所に引き込み発電する方法です。水を貯められないため、豊水期は、全ての水を利用することは出来ないものの、発電量が多くなります。一方で、渇水期は、発電に使える水が少ないため発電量が少なくなります。ダムがなくても運用が可能なため、建設コストを比較的抑えながら発電できるメリットがあります。

島根県にある八戸川第一発電所が流れ込み式を採用しています。

参考:島根県公式ページ 企業局水力発電

調整池式

日または週単位の電力需要に合わせて、調整池の水量を調整しながら発電する方式です。昼間の電力需要は夜間と比べて、約2倍になることもあります。しかし電気は蓄えられないため、電力需要が少ない時期や夜間などに発電を控えて、水を貯めることで急な需要に対応できるように調整します。

新潟県にある小千谷第二発電所や福島県にある大鳥発電所が調整池式を採用しています。

参考:経済産業省資源エネルギー庁公式サイト 水力ランキング

貯水池式

長期にわたって安定した電力供給に対応するため、河川をダムでせき止め、豊水期に貯水し、渇水期に放流して発電する方法です。河川の水を完全にせき止めるため、水の流れを自在にコントロール可能という特徴があります。

福島県にある奥只見発電所や田子倉発電所が貯水池式を採用しています。

参考:経済産業省資源エネルギー庁公式サイト 水力ランキング

揚水式

発電所の上部と下部に貯水池をつくり、電力需要が多い昼間は、下部の貯水池に向かって水を流れ落とし発電を行い、電力需要の少ない昼間は、余剰電力を用いて下部の貯水池に溜まった水を上部の貯水池に汲み上げる方式です。最近では、太陽光発電の促進により、昼間の太陽光で発電した電気を利用して揚水を行い、太陽光発電が出来ない夜に、発電を行う施設も増えており、再エネの導入拡大に貢献しています。

栃木県にある今市発電所や群馬県の玉原発電所などが揚水式を採用しています。

参考:経済産業省資源エネルギー庁公式サイト 水力ランキング
参考:東京電力リニューアルパワー公式サイト 代表的な水力発電所

 

水力発電のメリットと今後の課題

水力発電にはメリットや解決しなければならない問題があります。それぞれについて解説します。

水力発電のメリット

水力発電のメリットは以下のとおりです。

  • 温室効果ガスを排出しない
  • 海外からの資源輸入に依存しない
  • 電力需要の増減に対応可能
  • 地形的に日本で適した場所が多い
  • 発電や管理などの運用コストが少ない
  • エネルギーの変換効率が高い

水力発電は、水の流れを利用するため原子力発電や火力発電のような海外からの資源は不要であり、温室効果ガスを排出しません。また発電量の調整が可能なため、急激な電力需要に対応も可能です。

日本の国土の約7割が山岳地帯となっているため、水力発電所の建設がしやすいこともメリットとして挙げられます。太陽光発電や風力発電等他の再エネに比べて、発電や発電所の運用コストも安く、エネルギー変換効率は80%と非常に高いこともメリットの一つです。

参考:関西電力公式サイト 再生可能エネルギーへの取組み 水力発電の概要 

水力発電の今後の課題

水力発電のメリットを説明しましたが、一方で今後の課題もあります。

  • ダムの建設などの初期費用が高い
  • 雨量によって発電量が影響する
  • 環境破壊の懸念がある

先述の通り、水力発電の発電や管理などの運用コストは少ないものの、水力発電所自体の建設費用は多額の初期費用が発生します。また、水の力で発電することから、水不足など極端に降水量が少ない不測の事態の場合は、発電が出来ないリスクもあります。

また、発電自体は再生可能エネルギーであるものの、ダムの建設によって、広い地域を水没させたり、森林伐採などが必要になったりすることから、周辺環境や生態系に影響が出る恐れがあります。

参考:関西電力公式サイト 【イラスト解説】水力発電の仕組みとは?メリットや課題を正しく学ぼう

 

まとめ

今回は水力発電について解説しました。CO2排出量を2030年に2013年と比較して46%削減することや、2050年にカーボンニュートラルを達成することが政府目標として閣議決定されています。

水力発電は、その目標を達成するために不可欠なエネルギー生産方法であり、再エネ普及を推進するうえで、時間帯問わず発電が可能であることから、今後重要性は増していくと考えられています。

プロレド・パートナーズでは、企業の環境経営の取り組みについてのアドバイスやコンサルティングを行っております。カーボンニュートラルを達成するための方法やコスト削減などのご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。プロレド・パートナーズが誠心誠意ご対応させていただきます。

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