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2017.04.28
【連載】『シニアビジネスマーケット』5月号に「財務にインパクトを与えるコスト削減」第7回が掲載されました

シニアビジネスマーケットの経営情報誌『シニアビジネスマーケット』5月号に「財務にインパクトを与えるコスト削減」第7回が掲載されました。

第シニアビジネスマーケット第7回_自動車関連費用_

出典:シニアビジネスマーケット5 月号

第7回「自動車関連経費のコスト削減」

自動車に関わる3つの経費削減

介護施設やデイサービスでは送迎用、営業用などのさまざまなシーンで自動車を使用することが多いと思います。今回は、それら自動車に関わる3点の経費削
減について述べてゆきます。

1.車両価格
自動車に関わる経費は、大きく分けて「車両本体」「自動車保険」「ガソリン」の3点がありますが、最も経費が大きいのは車両本体です。多くの施設では送迎
用の介護車両、営業用車両を使用しており、また購入ではなくリース契約で使用している事業所も多いかと思います。車両リースのコスト削減を行なう際に見直
すポイントは以下の4点となります。

①グレードは適正か
同じ車種でも、グレードが複数種類あるものが多く、差額が数十万円ということもあります。たとえばAグレードとBグレードで差が10万円であれば、リース期間が
60カ月の場合は、1 カ月で約1600円の差が出ます。したがって、車両の使用用途に合わせたグレードを選択する必要があります。介護車両の場合は、車いすの対応台数によっても価格に差が出ますので、自施設の規模や使用目的に即した車両グレードを選定する必要があります。

②車両の付属品は適正か
車載オーディオ、カーナビ、ETCは本当に必要な車両にのみ設置をし、不必要なものは極力省くべきです。過度な装飾パーツを省くだけでも、総額で数万円
コストダウンすることができます。決まったルートのみを走行する送迎用車両にカーナビは必ずしも必要ではありません。また、高速道路を走行しない車両にはETC機能は不要ですので、付属品について再度の確認をされてみてはいかがでしょうか。

③メンテナンス内容は適正か
タイヤの本数、タイヤ保管の保管料、またオイル交換の設定距離などがメーカー推奨距離より過度に短く設定されてしまってはいないでしょうか(交換の回数が過剰になるため、割高になります)。本来する必要のないメンテナンスが設定されてしまっていないかを適切に判断する必要があります。

④月間走行距離は適正か
リース契約終了時の総走行距離はその車両の市場価値を決める指標の1つになるため、リース料に反映されます。たとえば、月間契約走行距離が500㎞と1500㎞では月額で2000円以上の乖離が出ることもあります(60カ月のリース期間では12万円に)。そのため、月間での正確な走行距離を把握し、契約時に伝
える必要があります。リース料を抑えるために、月間走行距離を過小に申告しても、リース契約終了後に走行距離の超過分が請求されるため、やはり適切な距離
を知る必要があります。
介護施設で使用する車両は、入居者・利用者を乗せて走行するため、安全対策が必要となります。しかし、過度な仕様はないか1度見直しをされてみてはいか
がでしょうか(図表1)。

SBM図表1

2.自動車保険
利用者、入居者、また従業員を乗せて走るため、ほとんどの介護事業所では自動車保険に加入をされていると思います。しかし、保険は保険会社から説明を受ても詳細までは把握できず、結局言い値で受けてしまっていることが少なくありません。自動車保険の法人契約は見直しができるポイントが限られますが、各保険会社の見積を比較し、検討を行なうことが重要です。今回は、複数台を所有している場合を想定し説明します。

①保険の対象期間
自動車保険は通常、自動車を購入(リース契約を締結)した際に契約をするのが一般的ですから、保険の開始時期(終了時期)がリース時期によってバラバラに
なっていることが多いと思います。まずはそれを統一化し1枚の保険証券で管理を行なうことにより、ミニフリート割引(フリート割引)などで2〜10%程度の割引を引き出すことが可能となります。

②運転者年齢条件の見直し

会社(法人)の場合、特定多数のスタッフが運転することが多いことから、年齢条件を指定していない保険契約が多いと思いますが、運転をする職員の年齢を
確認してください。もし、運転者の年齢が26歳以上であれば、年齢条件を26 歳以上などと限定することによって、保険料を
20%程度削減することも可能です。

③免責金額の見直し
車両保険で保険金を受け取ると、翌年の等級が下がる点が特徴です。損害額が少ない場合は翌年以降の保険料のことを考えて自己負担(会社負担)とし、免責
金額を5万円、10万円と設定をしておくと、保険料を抑えることができます。

④特約の見直し
特約は各保険会社によってさまざまなものがあります。もしもの時を考え、勧められるがままに不必要なものまで契約をしてしまうこともあります。また、特約を付けていても、内容によっては今後発生しない条件のものがあったりもします。思い切って不要と思われる特約は外すことも肝要です。契約内容について、保険会社はすべて説明をする義務がありますので、担当の方が納得をするまで話し合うことが重要となります。万が一を想定し保険を付けることは悪いことではありませんが、過剰なものまでは付ける必要はありません。提案される内容に関し十分な説明を受け、理解をすれば、過剰な特約や不要な特約を洗い出すことにつながり、結果的に約10〜15%のコストダウンが可能となります。

3.ガソリン購入料
自動車はガソリンがないと走行できませんが、ガソリン単価は日々変動し、近くのAというスタンドがレギュラー1ℓを120円で売っていても、Bスタンドが同119円で売っているなど、価格の設定がわかりにくいものではあります。しかし、各ガソリンブランド(ENEOS、昭和シェル、コスモ、出光など)と契約を見直すことによって、コストの削減が可能となります。

①店頭割引価格の交渉
各ガソリンブランドが発行しているカードに「契約単価は発行店(スタンド)と取り決めが可能」とあるものを選択し、店頭価格からいくら割引が可能かの交渉を行ないます。店頭価格はスタンドごとの裁量に任されている部分が多く、スタンドと交渉を行なうことによって、現状の店頭価格より2〜4円引きなどの割引条件を引き出すことも可能です。

②クレジット機能付きのガソリンカードに変更する
ガソリンブランドによってはクレジット機能があるカードを使用することによってキャッシュバック(月額100万円使用で3%還元など)が発生するカードがあります。店頭価格は変わりませんが、支払い時に割引を受けることができるものもあります。

③基準金額を決めて交渉を行なう

資源エネルギー庁が発表する「石油製品価格調査」という資料に、都道府県別の平均小売価格が発表されています。その資料を元に、全国平均価格から4〜6
円割引などの条件を決めることも可能です。ガソリン価格が固定化されるため、経費の管理もしやすくなります。
ガソリン代に関しては、価格交渉以外に「燃費」を改善して、ガソリン代を節約する方法も重要です。図表2は燃費の改善ポイントですので、こちらも心がけてガソリンの無駄遣いをしないよう注意しましょう。

SBM図表2

車両リース料、自動車保険は契約期間が満了のタイミングでの検討となりますが、ガソリンの購入や燃費の改善は電気・ガス代と同様、使用者の意識でその日か
ら改善できるものでもあります。1度で出る効果は小さいかもしれませんが、コスト削減はその積み重ねです。すぐに実践されてみてはいかがでしょうか。

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