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2017.06.28
【連載】『シニアビジネスマーケット』7月号に「財務にインパクトを与えるコスト削減」第9回が掲載されました

シニアビジネスの経営情報誌『シニアビジネスマーケット』7月号に「財務にインパクトを与えるコスト削減」第9回が掲載されました。

シニアビジネスマーケット第9回_消耗品のコスト削減_

出典:シニアビジネスマーケット7月号

第9回「消耗品のコスト削減」

事務消耗品(オフィス通販)の見直しに役立つ4つのアプローチとは

高齢者向け介護施設でも広く利用されている事務消耗品のオフィス通販ですが、こちらもコスト削減の対象になります。今回は、当社が実際に事務消耗品費のコスト削減に取り組む際に着目している4つの見直しアプローチをご紹介します。
事務消耗品費のコスト削減アプローチは、購買先との取引状況・条件をコントロールする「サプライヤーマネジメント」と、自社の利用状況や購買方法を管理する「ユーザーマネジメント」に分類できます。この2つを適切に実施することで、より大きな削減効果が見込まれます(図表1)。
SBM9

サプライヤーマネジメントによるコスト削減策

1.購買先との条件協議〜相見積りの取得だけでなく、過去の取引経緯を踏まえた商談ストーリーの組立てを!〜

自社で既存購買先に条件協議する際、どのようなストーリーを組み立てればよいでしょうか。よくある商談ストーリーは、「複数の新規サプライヤーへ相見積りをとった結果、○○万円の削減効果のある提案を受けたので、御社も同水準まで単価を見直してください」という流れです。
確かに削減効果のある新規購買先の見積り提案があると、値下げ理由の1つになりますが、それだけで好条件を引出すことは簡単ではありません。なぜなら既存購買先は「数千〜数万商品も取り扱っている事務消耗品の購買先を別の新たな企業へ切替えるのは、手間がかかることから、最終的に購買先を変更できないだろう」とみなしているからです。
相見積り以外では、過去の取引経緯、つまり「取引開始時期」「取引金額の推移」「単価条件の見直し経緯」を事前把握することで、より条件協議の幅が広がります。介護施設を運営するA社の例を見てみましょう。

A社は8年前から既存購買先との取引を開始しており(取引開始時期)、当時と比べると運営施設数は9施設も増加しているため取引金額は12%ほど増加している(取引金額の推移)。しかし、取引開始から現在に至るまで1度も条件を見直していない(単価条件の見直し経緯)

このような状況でA社が用意すべき商談におけるカードは以下の3つです。
①8年前と比べて施設数が9施設も増加している(今後も年1カ所のペースで新施設を開設する予定)
②8年前と比べて取引金額が12%も増加している
③現在適用されている割引率が8年前から見直しされていない
このようなカードは新規購買先からの削減効果のある見積り提案がない場合でも活用できます。既存購買先が現行条件を見直さなければならない直接的な理由となるため、協議において好条件を引き出しやすくなります。

2.主要商品の購買先変更〜オフィス通販のペーパータオルやトイレットペーパーは実は割高!? 〜
商品の購買先は、どのような選定基準で決定されていますでしょうか。商品の購買先は主に「オフィス通販経由」と「卸・メーカー経由」の2つですが、それぞれ異なる特徴があります。この2つの購買先の特徴を理解したうえで、品目ごとにどちらの購買先が自社にとって適切であるのかを判断する必要があります。
オフィス通販経由の特徴は、
①小ロット発注が可能で、発注した翌日に納品される等の利便性②商品単価は卸・メーカー経由で購入するよりも割高
一方、卸・メーカー経由の特徴は、
①発注曜日、頻度が固定されており、小ロットの発注には別途送料がかかる
②商品単価がオフィス通販経由で購入するよりも安い
在庫が不足した時、小ロットで発注する事務消耗品は、商品単価が高くても利便性を重視してオフィス通販経由で購買します。しかし、そのなかには「卸・メーカー経由で購入したほうが割安になる商品」も少なくありません。たとえば、ペーパータオルは定常的に利用するため消費量が大きく、消費量は毎月一定であることから、大ロット発注が可能です。このような商品は、オフィス通販の利便性を享受する必要性が低いので、商品単価が安い卸・メーカー経由での購買に適しており、結果的に購買先をオフィス通販経由から卸・メーカー経由へ切替えると、商品単価は2〜3割は安くなります。

ユーザーマネジメントによるコスト削減策

1.発注可能な「金額」と「商品」を制限〜発注金額の上限を設けて“不必要な高額商品”をカット&発注可能な商品に制限して“購買の無駄”をさらに15%カット!!〜
発注業務を各介護施設の担当者へ一任している場合、「発注金額の上限設定」「発注可能商品の制限」というサービスの活用は有効です。大手オフィス通販「アスクル」「たのめーる」でも無料で設定でき、施設ごとの月別発注金額、発注商品を容易に管理できます。逆にこの制限設定がない状態で各施設の担当者へ一任すると、「オフィス通販経由で購買すべきでない単価が高い商品を発注」といった無駄が発生します。
このような無駄が発生する背景はそれぞれ、①「通常、卸・メーカー経由で購買している品目の在庫が減った際に、利便性が高いオフィス通販経由でつい購買してしまうため」、②「オフィス通販サイトには多種多様の商品が掲載されており、購買すべき商品を適切に選定できずに発注してしまう」ためです。適切に管理できていない場合と比較して、平均15%程度のコスト削減が実現可能です。

2.発注商品の詳細選定〜トイレットペーパーは目的別に「顧客向け(ダブルの色柄・香り付き)」と「社内向け(シングルの無色無臭)」で使い分ける〜
施設ごとで具体的にどのような商品を購買しているか把握されていますでしょうか。各施設が購買している商品を詳しく調査すると、必要以上に高価(オーバースペック)な商品を購買している場合が散見されます。
たとえば、トイレ用品でお客様用と従業員用の区別なく、「すべてダブルの色柄・香り付きのトイレットペーパー」を購買しているなどです。このような場合、従業員用トイレのみ「シングルの無色無臭」という低グレード品へ変更するだけで、1施設当たり年間数十万円の削減も可能です。

ご紹介してきました4つの見直しアプローチのうち、まずはユーザーマネジメントの「1.発注可能な“金額”と“商品”を制限」「2.発注商品の詳細選定」から着手することをお勧めします。ユーザーマネジメントは自社内で取り組めるため、短期で削減効果を実現できるからです。また、ユーザーマネジメントを適切に行なうことにより、購買状況が整理されるため、サプライヤーマネジメントの検討もより効果的となります。

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