現金輸送費のコスト削減

現金輸送は、小売・サービス業を中心に今なお必要不可欠な業務である一方で、人手不足やセキュリティ強化、キャッシュレス化といった環境変化により、業務設計とコスト構造が複雑化しています。特に、入出金機や現金バッグ方式、集配金の頻度・ルートなどが絡み合うことで、現状の契約が最適か判断しづらくなっている企業が多く見受けられます。

プロレド・パートナーズでは、現金輸送業務の構造と警備業法への理解をベースに、全国のサプライヤーデータや最適単価情報を活用し、現状把握と仕様見直しを通じた包括的なコスト削減をご支援しています。

 1.業界・コスト構造

現金輸送は、売上金の回収や釣銭の配金を警送会社が担う業務であり、警備業法で定められた第三号警備業務に該当します。クライアントが銀行に直接持ち込むのではなく、現金輸送の集積所(勘定)を経て、翌日に銀行へ入金される流れが一般的です。

輸送手段には、現金バッグ、入金機、入出金機といった複数の方式があり、それぞれ設備投資や運用負荷、契約の柔軟性に違いがあります。また、実際の費用は、集配金の訪問頻度、警送ルートの設計、時間帯指定の有無、銀行関連の入金・両替手数料など、さまざまな要素の組み合わせによって決まるため、表面上の単価だけでは正確に把握できません。加えて近年は、最低賃金の上昇や警備員不足、輸送コストの増加といった要因を背景に、現金輸送は全体的に値上げ傾向が続いており、契約内容を長期間見直していない企業では、仕様と価格が乖離しているケースも少なくありません。複雑化したコスト構造を正しく把握し、現場実態と照らし合わせて仕様を最適化することが、コスト適正化のための重要な起点となります。

2.プロジェクトアプローチ

 プロレド・パートナーズでは、現金輸送のコスト削減において、①警送方法/集配金頻度の最適化、②地域別適正価格への統一、③契約の一元管理という3つの柱でアプローチを行っております。

プロジェクトは、現状把握および分析から始まり、削減アプローチの設計、契約条件の交渉、新体制の導入という段階を踏んで進行いたします。

特に初期段階においては、店舗ごとの現金取扱量や集金・配金頻度、使用機器、精査方法、契約開始日、入金手数料などの情報を整理・把握し、現在の仕様やコストが適正であるかを検証しております。

また、当社では地域別に収集した契約単価データベースを活用しており、これを最安値水準の条件と照合することで、既存サプライヤーとの協議を通じたコスト削減を実現しております。

さらに、全店舗の契約情報をマスタとして一元管理することにより、将来的な仕様変更や出店・退店時の対応においても、管理負荷を大幅に軽減することが可能となります。

①現状把握・データ分析

 全拠点の契約内容や運用実態に関する情報を収集・整理し、現状を可視化します。具体的には、集金・配金頻度、使用機器の種類、現金取扱量、精査方法(毎日/一括)、釣銭の配金額、持込先銀行、手数料条件、警送会社の変更履歴、支払方法などを網羅的に把握し、現状の仕様がコストに対して適正であるかを分析します。

削減アプローチの策定

 収集したデータと現場ヒアリングの内容をもとに、課題を抽出し、実態に即した削減アプローチを設計します。たとえば、取扱現金量に対して過剰な回収頻度や不適切な機器仕様となっていないかを検証し、過不足のない集配・精査体制に見直します。また、地域別単価と自社契約の比較を通じて、契約内容の見直し余地を明確にします。

③削減スキーム設計

 現行契約と最適案の差分をもとに、サプライヤーとの価格交渉や仕様変更に関する協議を進めます。既存の警送会社との関係性を維持しながら、リース条件や手数料の見直し、回収頻度の再設計などを組み合わせた削減スキームを構築します。必要に応じて、新規サプライヤーからの見積もり取得も行い、複数案による比較検討を可能にします。

④新体制策定

 交渉や検討を経て合意に至った内容をもとに、新たな運用体制および契約スキームを策定します。条件改定後の契約書・仕様書への反映や、必要な機器の切り替え・工事手配、運用スケジュールの調整などを、プロレド・パートナーズが伴走支援することで、クライアントの業務負担を最小限に抑えながら、スムーズな移行を実現します。

 

3.コスト削減事例

 

事例①

  1.  クライアント業種: 食品スーパー
  2.  売上規模: 2,000億円~2,500億円
  3.  課題: 集金頻度や入金機仕様が現場の実態と合っておらず、過剰なコストが発生していた
  4.  クライアントが直面していた課題: 回収金額が年々減少していたにもかかわらず、集金頻度の見直しが行われていなかった
  5.  プロレド・パートナーズによる課題アプローチ: 約20店舗の入金機を大型機から標準機へ変更し、各店舗の実態に応じて集金頻度を最適化
  6.  実施後の効果: 入金機の見直しと集金頻度の最適化により、コスト削減を実現▲10.2%削減する成果を実現

 事例②

  1. クライアント業種: ホームセンター
  2. 企業規模: 4,500億円~5,500億円
  3. 課題: 全店舗で毎日集配が実施されており、実態に即していない回収頻度や統一仕様により、コストと業務負荷が過剰になっていた
  4. クライアントが直面していた課題: 現金売上の少ない店舗でも一律で集配が行われ、人的対応や委託費が過大に。自動釣銭機の有無にかかわらず運用が統一されており、現場負担と非効率性が顕在化していた
  5. プロレド・パートナーズによる課題アプローチ: 店舗の売上規模や設備状況に応じて集配頻度を見直し、自動釣銭機の有無に応じた運用設計を実施。釣銭預託や精査業務も含めて、契約と運用の全体最適化を図った
  6. 実施後の効果: 集配頻度と入金サイクルの見直しにより▲12.8%削減を実現し、キャッシュフロー改善や店舗の業務負荷軽減にもつながった

 

 4.参考

現金輸送は、防犯・正確性・利便性といった観点から専門性が高く、見直しには警備業法や機器仕様、契約構造への深い理解が求められます。サプライヤーや仕様の選定を誤ると、業務に支障をきたす恐れがあるため、内部だけでの見直しには限界があります。

プロレド・パートナーズには、現金輸送を含む警送・集配金領域に特化したコンサルタントが在籍しており、現場の実態と契約内容を丁寧に把握した上で、仕様や品質を維持したまま最適なコスト構造への移行を支援しています。

コストマネジメントのお悩みを解決したい方へ

プロレド・パートナーズでは、コストマネジメントのコンサルティングを承ります。 自社の現状把握や、実行支援をご検討される際にはお気軽にご相談ください。

 
TOP