運賃の適正化による物流コストの削減術

物流コストとは、モノが供給者から需要者の元へ届くまでに発生する費用全般を指します。一般的には、

  • 運賃
  • 人件費・管理費
  • 荷役費
  • 情報処理費

などから構成されています。

「運賃」は物流費用の中でも高い割合を占めるため、物流コストの削減に大きく貢献する費目です。ここでは「運賃」を適正化するための具体的なアプローチ方法と、運賃適正施策によってコスト削減に成功した事例をご紹介します。

物流コスト削減 運賃適正化のアプローチと施策

運賃と一言で言っても、いくつかのパターンに分類されます。

  • 製造拠点から在庫拠点への運賃
  • 在庫拠点間の横持ち運賃
  • 納品先への配送運賃(路線便、宅配便、チャーター、共同配送、航空、海上コンテナ、鉄道コンテナ等)

いづれのパターンも、委託先の集約⇔分散、最適な委託先の選択、物流網/配送スケジュールの見直しを検討することで、効果的にコスト削減を図ることができます。

運賃適正化のアプローチと施策

ここでは、3つの施策について、アプローチ方法を詳しく説明します。

a. 委託先の集約⇔分散

運賃適正化における最初のステップは、物流拠点を「集約」するか「分散」させるかについて見極めることです。

拠点を集約した場合、各拠点に分散されていた配送業者を集約させることで、ボリュームディスカウントを引き出すことができます。ボリュームディスカウントの他にも、拠点の人件費や設備費、在庫削減など、多くのコスト削減が期待できます。

しかしその一方で、輸送距離が長くなるために、配送費が高くなります。高い配送費に加えて、リードタイムも伸びるため、取り扱う商品によっては拠点を集約しないほうがよい場合もあります。
メリット・デメリットをよく考慮した上で、トータルでコスト削減効果が大きくなる選択をしましょう。

物流拠点の見直しを進める中で、委託会社の窓口変更に関しても、積極的に検討をすすめていくとよいでしょう。同じ物流会社(宅配業者等)でも、営業所によって運賃表が異なる場合があります。既存窓口から本社や別の営業所へ変更することで、運賃単価低減の余地があります。

b. 最適な委託先の選択

運賃適正化をする上で最適な委託先とは、競争力が最もある物流会社です。自社の物流状況、実情をきちんと把握した上で、「カバーエリア」、「配送物」、「配送形態」に合わせて、競争力のある会社を検討しましょう。その上で、各社見積もりを取り、適正な価格条件を引き出すことで、業界最安値での調達が可能となります。

また、卸会社と包括契約をしている場合、倉庫運営と配送業務に関しては物流会社との直接契約へ変更することで、運賃を削減できる可能性があります。自社の契約内容を確認し、コストダウンの余地があるか試算してみましょう。

物流業務の外注度合い(内製化、配送委託、3PL)を見直すことも効果的です。具体的には、

  • 3PL(サードパーティー・ロジスティクス)導入時には、センター/倉庫業務の内製化も含めて比較検討する
  • 内製化で物流業務の多くを担っている場合には、社内コスト構造の見直しだけでなく外注(配送委託、3PL)を検討してみる

サービスの質をキープしたままで、最大限にコスト削減が可能な委託度合いの線引きを考えることが重要です。

c. 物流網/配送スケジュールの見直し

物流網/配送スケジュールを見直すことは、業務効率化を促し、無駄なコストを削減します。
具体的には

  •  納品先の指定時間の制約を調整することで、より効率的な配送スケジュールを再構築
  •  発送地やセンター/倉庫の設置場所の見直し
  •  ドライバー側へ課していた付帯業務(手積み下ろし業務等)を一部、自社で巻き取る
  •  オーバースペックだった車両は必要最低限に見直し

 といったものがあります。

プロレドの物流コスト削減

ここまで、物流コスト運賃適正化のアプローチ方法をご紹介しました。運賃適正化を図るには、現状のコストを分析・把握した上で、最適なアプローチ方法を複数選択していく必要があります。検討すべきポイントが多く複雑ですので、自社での取り組みに行き詰まりを感じる際は、外部の専門家やコンサルティング会社に依頼するのも有用な手段の一つです。

プロレド・パートナーズは、運賃の適正化について下記のレベルまで細かく精査を行います。解決策を提示するだけではなく、物流会社との協議も直接行います。集積された多くの実績・事例や知識、最新の市況感をもとに、物流のプロフェショナルが確かなコスト削減を実現します。

運賃検討箇所一覧

-運賃適正化のスケジュールと役割

  • 物流の現状把握、及び配送の実績データ分析を通して、配送単価の適正化アプローチを設計します。
  • 運賃単価の引き下げ、及び新規配送会社への切替手続きまでをサポートさせていただき、改善メリットを確定させます。
  • 最短5か月で運賃の引き下げを実現します。
運賃適正化のスケジュール

事例 物流拠点の統廃合

以下では、運賃適正化施策による具体的なコスト削減事例をご紹介します。

  • 化粧品小売企業において、新商品発売に備えて物流コストおよび在庫削減(既製品の終息活動)を目的とした拠点の統廃合を支援
  •  コストシミュレーションの結果、3拠点を2拠点に統廃合することで、物流総コストを9%削減、在庫23%減に成功

【弊社支援内容】

  •  物流センター統廃合計画の策定
  •  物流アウトソーシング(3PLの選定)

【活動手順】

物流に関する全体概要を分析・把握した上で、課題抽出を行い、課題解決に向けた基本構想及びシナシオを設計。複数の拠点シナリオを描き(図:案1、案2、案3)、各案におけるコストシミュレーションを実施しました。

シミュレーションの結果、トータルコストの観点から、 全4拠点あった物流センターの内、広島は閉鎖し、関西に業務統合する案3を選定。決定したシナリオ(案3)をもとに業務を細分化し、最適な業務フローを策定。

業務フローの中で、作業効率に直結する庫内レイアウトの設計及び、3PL (サードパーティー・ロジスティクス)選定を行いました。3PL選定に関しては、プロレドの持つ膨大なデータベースをもとに金額面はもちろん最適なサービスレベルを加味して選定していきました。最終段階として、テストラン、効果検証を行い、実際に業務が円滑に行われるか、想定通りのコスト削減が実現できているかを検証しました。

【活動成果】

  •  輸配送の効率化(物流コスト9%減)
  •  在庫削減(23%減)
物流拠点の統廃合事例

以上、物流コスト運賃適正化のポイント、施策をご紹介しました。
運賃を適正化するには、現状の物流コスト構造を詳細に把握・分析した上で、自社の特性に合った削減アプローチ方法を検討する必要があります。大幅な改善を目指すためには、拠点の集約や委託先の見直し、社内全体の業務フロー見直しなども効果的な手段です。しかし、大掛かりな改善は、難易度が高く、自社では削減方法がわからないとお考えの方が多いのではないでしょうか。

プロレドでは、データの収集・分析における現状把握から、サプライヤー協議・契約締結に至る実行部分まで、コスト削減に関わる業務を一気通貫で⾏います。物流のプロフェッショナルが、深い知識と実行力をもってコスト削減を実施しますので、物流コストに知見を持つ外部コンサルティングの導入をご検討の際は、プロレドへご相談ください。

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