複合機・コピー機のコスト削減術

複合機・コピー機は、自社の使用状況を把握することで大きなコスト削減が可能です。コスト削減の具体的なポイントをご紹介します。

1.まずは自社の使用状況を把握

複合機におけるコスト削減において、まずは自社の複合機の使用状況を正確に把握することが大切です。

使用状況を簡単に把握する方法として、請求明細書を確認することが通常ですが、実はメーカーが提供している“使用実績レポート”で確認することがおすすめです。

このレポートでは、モノクロとカラー、それぞれの使用枚数、受信したFAXの出力枚数、さらに両面印刷といった印刷設定別の使用枚数まで記載されています。また、月別の使用枚数推移も確認できるため、月ごとの使用枚数などが把握できます(図表1)。

さらに、メーカーによってはレポート内の使用状況をもとに、印刷設定による印刷枚数の削減方法を提案してくれることもあります。また、追加料金が必要になることもありますが、個人のIDを登録して、個別の使用実績を分析することも可能ですので、必要に応じて活用を検討してください。

2.印刷枚数の削減とカウンター単価の削減を把握

複合機のコスト削減の手法は大きく2つにわけることができます。

1つ目は「印刷枚数を減らす(量の削減)
2つ目は「カウンター単価を下げて、1枚あたりのコストを抑える(単価の削減)

どちらも適切に行うことで、大きな削減効果を狙うことが出来ます。

■印刷枚数削減(量の削減)のポイント

印刷枚数削減のポイントは、PC側の印刷設定を徹底することです。

単価削減につながることでもありますが、PCの印刷設定をモノクロにしておくことが重要です。モノクロとカラーの単価は3〜10倍ほど開きがあります。例えば、社内資料はすべてモノクロに統一するだけで、かなりのコスト削減が可能です。

また、出力設定も社内向け資料に関しては、複数ページを1ページに印刷するページ集約印刷とすることで、枚数を抑えられます。また、複合機側の設定でも、出力枚数を抑えることができます。これは、PC側で出力を実行しても、再度複合機で自分のデータを選択しなければ出力されないというものです。この設定をすることで、PCから誤って出力指示した場合でも、複合機側で削除することができます。

なお、FAXについても、受信時に自動出力をせず、PDF化したファイルをメールで送信する機能が付帯する機種があります。この機能を使い、PDFで内容を確認し、必要な物だけ出力することも可能です。

ただし、こうしたルールを設けても、そのルールを守らなければ量を減らすことはできません。1枚当たりの単価を掲示するなど、コスト意識を徹底させ、出力枚数の多い従業員に注意喚起を行なうといった意識改革も大切です。

■カウンター単価削減(単価の削減)のポイント

①カウンター単価の決定要因を把握した上で協議する

カウンター単価削減のポイントは、カウンター単価の決定要因を把握した上で協議することです。
カウンター単価の決定要因は、

  • 印刷枚数
  • モノクロとカラーの使用比率
  • 保守サービス

の3つです。

単価交渉を行なう際には、こうしたカウンター単価の決定要因を把握した上で、印刷枚数の推移やモノクロとカラーの使用比率を、交渉の材料とする必要があります。

使用量が増加傾向にあれば、それを理由に単価の見直し交渉をすることができます。もし、全体の印刷枚数が少ない、あるいは使用量にあまり変化がない場合でも、単価が高く利益率の高いカラーの印刷枚数が多い場合だと、条件交渉に応じてくれる可能性は高くなります。

それでも単価交渉になかなか応じてもらえない場合には、新規メーカーから見積りをとることで、良い条件を引き出だすという選択肢もあります。ただし、新規メーカーに見積りを依頼する際、既存機種がリース契約であれば契約の残期間によって違約金が発生するため注意が必要です。 

②実際の使い方に合わせたメーカー選定

メーカーによっては、モノクロとモノカラーが同単価である場合と、モノクロとカラーとで価格差を設けている場合がありますので、実際の使い方に合わせたメーカー選定が、単価を削減するポイントです。

【具体例】
現状:モノクロ3円、カラー13円
A社見積もり:モノクロ1.5円、カラー10円
B社見積もり:モノクロ2.5円、カラー8円

パッと見では、カラーが5円も安くなるB社の方が良い条件に思えるはずですが、実際に印刷をするのはモノクロばかりなら、モノクロの単価が安いA社を選んだ方がメリットは大きいのです。コスト削減のために、新たに見積りをとる場合、条件だけでなく、自社の使用状況も鑑みながら検討する必要があります(図表2)。

以上のように、複合機コストといっても、単価の交渉から、機種の入替えを含めた条件の見直し、さらには印刷枚数を減らすといったように、さまざまなコスト削減の手法があります。水道光熱費のように大きな支出ではありませんが、意識して削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。

複合機コスト削減の対象となりうる企業は、製造業、建設・不動産業、卸売業、小売業(家具・家電の量販店、カーディーラー、アパレル、書店など)、サービス業(エステ、ブライダル、ホテル、旅館、旅行代理店、塾、介護施設など)、学校、病院などがあてはまります。

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