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2016.11.28
【連載】『シニアビジネスマーケット』にて「財務にインパクトを与えるコスト削減」第1回が掲載されました

シニアビジネスマーケットの経営情報誌『シニアビジネスマーケット』12月号より連載「財務にインパクトを与えるコスト削減」がスタートしました。
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出典:シニアビジネスマーケット 12月号

第1回「シニアビジネスにおけるコスト削減とは」

営業利益に直結するコスト削減

企業の営業利益をあげるには、“売上増加”か“コスト削減”のいずれかを実現させる必要があります。“売上増加”と同レベルで、“コスト削減”は多くの経営者の優先課題となっていますが、取組みが十分な企業は多くありません。日本企業と欧米企業の一般販売管理費(以下、販管費)の比較において、日本企業は欧米に比べ50%以上高いことがわかっています。
販管費は管理部門だけで取り扱える費目も多く、コスト見直しによる売上げへの影響も限定的であるため、比較的取り組みやすい領域です。各費目の「単価」と「使用量」を正確に把握し、適正化によるコスト削減を実現することで、すぐに営業利益に貢献します。介護施設等の収入がある程度安定しているケースでは、コスト面から着手すると短期間で成果を出すことが可能です。
たとえば売上高年間100億円、同営業利益率5%の企業があったとします。当該企業の月額の販管費を1000万円削減した場合、営業利益は年間1・2億円増となります。逆に同額の営業利益を、売上増で実現する場合、1・2億円÷5%=24億円/年の売上増を実現しなければなりません。

■ 医療・介護業界においてコスト削減が大切な理由
医療・介護産業において、昨今コスト削減のニーズは急激に高まっており、今後もさらに重要な要素となってきます。以下に主な理由を挙げてみます。

【コスト削減の重要性が高まる3つの理由】
①介護ニーズの増加と比較し、従業職員数の増加率は著しく低いのが現状です。各施設は専門人材不足を解消するため、求人/採用にかける費用が年々増加しています。また、利用者獲得の競争から施設/サービスの差別化も必要となり、質を向上させるための原価(施設投資/管理・運営)も増大しています。

②シェア争いが厳しくなるなかで、広告宣伝・集客などのマーケティング費用も増大しています。これまでマーケティング戦略を強く意識しなかった企業でも、今後は集客対策の強化に伴い、チラシ、インターネット、専門媒体などの各種チャネルを駆使、マーケティング費用が増加傾向にあります。

③将来的に企業数はより集約化が進むと予想されますが、業界としてまだ企業経営/マネジメントが未成熟という事情もあるため、全社的なコスト・マネジメントや適正な見直しが今後は必要となります。現状では各施設の責任者がコスト全般を管理しており、必ずしも各費目の市場相場や専門性を有しているわけではないことから、相場よりも高い価格で購
入している場合も少なくありません。このように医療・介護業界もコストが年々増大し、競争が激化しているなかで、販管費の無駄をなくし、コスト削減を実現することは、健全な経営を目指すうえで必須といえるでしょう。
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コスト削減の基本的なアプローチ

実際にコスト削減を進めていくための、基本的なアプローチを確認しましょう。アプローチには、仕入れに対する状況・条件をコントロールする「サプライヤーマネジメント」と、自社の利用状況や購買方法を管理する「ユーザーマネジメント」の2つがあります。2つのマネジメントにはさまざまな手段があり、当社ではコスト削減における8つの検証ポイントから提案を行なっています[別図]。「サプライヤーマネジメント」は、基本はサプライヤーの利益/コスト構造を把握し、サプライヤーが仕入れる原材料費、加工費(人件費含む)、経費(物流)を分析する必要があります。品質が高ければ原材料費は上がり、また、1回の発注量によっても物流費や加工費に影響が出るため、同品質であっても価格は大きく変動します。加えて、大企業への導入実績の有無、競合とのシェア争いや決算時期の関係などで、想定以上に安価で購入できる場合もあります。
サプライヤーマネジメントには、下記の4つの検証ポイントがあります。

①単価の検証
②購買・発注方法の検証
③協業による検証
④直接取引の検証

一方で、「ユーザーマネジメント」に関しては、現在自社で使用しているサービス・モノの量が適切か、また、現事業に最適なサービスレベル/仕様になっているか、代替品/サービスがないかを検証していくものです。ルールを決めて使用量を減らす取組みの場合、電気の節電では余分な使用時間や頻度を現状に則して適正化していきます。ただし、一方的に従業員の努力に頼ったアプローチは、従業員のモチベーションや社内の雰囲気に大きな影響を与えてしまうため、注意が必要です。余分なコストは主に「量」と「質」に分解され、
具体的には下記の4つの検証ポイントとなります。

〈品質の見直し〉
⑤スペック・代替案の検証
⑥必要性の検証
⑦業務・運用の検証
〈数量の見直し〉
⑧必要量(最適発注量)の検証

複数のアプローチを組み合わせトータルでの削減を実現するサプライヤーマネジメントと違い、ユーザーマネジメントは手段ごとに検証し、削減額を積み重ねる必要があります。コスト削減は、意識的に「サプライヤーマネジメント」と「ユーザーマネジメント」の2つのアプローチに切り分けることで、問題・状況が整理され、体系立ったコスト削減の実行が可能となり、最終的に大きな削減効果を得ることができます。
次回からは各費目についての具体的なコスト削減のアプローチと、すぐに現場でできるコスト削減手法を紹介していきます。

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