全社的なコスト見直しに取り組む場合、経営層として単に現任の担当者へ「現状よりも▲○以上を目標にコスト削減を実現せよ!」と業務命令を出すだけでは期待する成果は得られません。コストを最適化するためには、いくつもの組織的な課題や障害をクリアする必要があります。
今回はコスト削減に取り組む際に必要な現場担当者やコスト削減に取り組むプロジェクトメンバーが見直しに対して積極的に取り組めるようにする動機づけについてご紹介します。
STEP.2 コスト削減を成功させるための事前準備

コスト削減を成功させるためには、「コスト削減に取り組む現場担当者に積極的に取り組めるようにする動機づけ」と「見直しを行わない“聖域”を作らないこと」が鍵となります。この2つが障害となりコスト削減が進まない原因となります。障害が生まれる背景と対応策を紹介します。
現場担当者がコスト削減活動に否定的である4つの理由
まず、現場担当者がコスト削減活動に否定的になってしまう理由は以下の4つです。
- コスト削減を実施しても評価されない
- 日常業務が忙しく、手が回らない
- コスト削減が出来てしまうと担当者として非難される
- 他人に横やりを入れられたくない

例えば、大幅なコスト削減が実現した際に経営陣から「今まで何をやっていたんだ!」などと言われ、むしろ人事評価がマイナスになると懸念する担当者もいます。特に外部コンサルを入れた場合、現任の自分が非難の対象になることを恐れ、非協力的になることも珍しくありません。
こういった場合は、経営陣が担当者に対して、現状からどれだけ見直せたのかを評価し、その成果が大きいほど高く評価すると直接コミュニケーションをとることが必要です。
コスト削減の見直しに対して、現場担当者レベルでの後ろ向きの姿勢や反発への対応は、事業会社の経営陣だけでなく、第三者としてコスト削減プロジェクトを支援する外部の専門家やコンサルティング会社にとっても重要な視点です。当社も過去のプロジェクトにおいて、社長など経営陣は「ぜひ、コスト削減できるものは徹底的にやってほしい!」とやる気満々であったとしても、事前の現場へのコミュニケーションや根回しが充分でない場合、プロジェクト着手後に現場からの協力が得られない、または感情的な理由で反発が相次ぐなど、さまざまな障害が発生してしまうことを経験しています。
なぜ「聖域化」された領域ができてしまうのか

次に、コスト見直しの打診をした場合に「すでに自分たちで取り組んでいる」という理由で見直しを拒否する部署があることも少なくありません。見直せる領域を“聖域”として手出しできなくしてしまうのです。聖域化してしまう典型的なパターンは以下の4つです。
- 専任担当者の長期固定による蛸壺化
- 取引先との今後の取引継続を前提とした馴れ合い
- 部署間の連携不足
- 合理性よりも慣習やメンツを重んじる文化

聖域化の背景として「創業時からの取引先企業で同郷だから」「あの時、無理を言って協力してもらったから」などの感情的な理由である場合が多々あります。取引先企業と長期的に良好な取引関係を維持することは重要ですが、合理的な理由もなく見直しをせず、長年割高な取引条件のままになっていることも珍しくありません。経験上、こういう部分に多くの改善余地や無駄が潜んでいます。
こういった場合は、社長や役員レベルが先頭に立ち合理的な見直しを断行するという強い意思表示をすることが必要です。ただ、関係性がセンシティブな場合も多いので働きかけかたにも工夫が必要です。例えば、新規取引先候補企業に見積もりや提案を打診し、どの程度の改善余地があるのかを確認します。改善余地が大きいと判断した場合「複数の他社から良い提案をもらっているので、他社水準並みに見直してもらえないか」など客観的な根拠を持って依頼してみると、協力してもらえる可能性が高まるのではないでしょうか。
まとめ
今回はSTEP.2として、コスト削減を成功させるための事前準備をご紹介しました。コスト削減に取り組む多くの会社で同じような課題に直面し、思ったような結果を生み出せないということが良く起こります。その原因は社内の意思疎通がうまくいかず全社での取り組みにならないことが挙げられます。
こういった問題が起こらない様に、コスト削減に取り組む前の事前準備として参考にしていただければ幸いです。次回からは実際のコスト削減の手法について解説していきます。
このコラムはプロレド・パートナーズ遠藤昌矢著『コスト削減の最強戦略 企業競争力を高める間接材コストマネジメント』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・要約しています。さらに詳しい内容を知りたい方は是非書籍をご覧ください。成果報酬型コンサルティングサービスにて企業のコスト削減を支援してきた弊社のノウハウを余すことなくご紹介させていただいております。