コストマネジメント

間接材のコスト削減における課題と削減に向けたポイントを解説

間接材のコスト削減が事業活動において重要といわれています。なぜなら、企業が取り組むべきことは、事業状況に応じて固定費を徹底して見直し、損益分岐点を引き下げ、非常事態でも利益を確保しやすい事業体質にすることだからです。厳しい事業環境の下でも将来への成長投資を犠牲にせず、筋肉質な事業体質にするために着目すべきは「間接材コスト」です。

この記事では弊社執行役員の遠藤が執筆した著書、『コスト削減の最強戦略』をもとに間接材のコスト削減における課題と削減に向けたポイントを解説します。

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間接材とは?

まずは間接材の定義から確認していきましょう。

事業活動に必要な資材は大きく分けて「直接材」と「間接材」に分類する事が出来ます。簡単に言うと、売上や利益に直結する資材を「直接材」、業務を遂行する上で必要な直接材以外の資材を「間接材」と呼びます。

製造業を例にすると、直接材とは生産に直結する原材料や部品などが該当します。一方で間接材とは工具や消耗品、装置、補修用品、燃料などの事を指します。また、間接材は別名で副資材と呼ばれることもあります。

間接材のコスト削減における課題

実際に間接材のコスト削減を実施するにあたり、代表的な課題として下記の3つが挙げられます。


現場担当者の動機付けの不足

最も重要な課題カテゴリーである“ 現場担当者の動機付けの不足” に関しては、まず、「現場担当者にとって、コスト削減に頑張って取り組むメリットがない」事が挙げられます。総務・管理部署においては、ほとんどの日本企業ではコスト削減で成果を出したからといって、その担当者が直接的なメリットを得られる仕組みになっていません。人事評価の中でも、総務・管理部署は年功序列が前提になっており、トラブルやミスを起こさないことが第一に優先されています。
また、現場担当者においてもメリットが得られません。なぜなら積極的に改善活動に取り組んだ場合、単純な値下げ交渉に留まらず、現場のオペレーションやルールの変更なども必要になってきます。既存の取引先を別企業へ変更した場合、その対応のために現場担当者の工数負担が増え、現場のトラブル発生率も必然的に上がります。結果、現場担当者にとっては、取り組むインセンティブがないばかりか、新たな仕事が増えてしまい、トラブル対応にも時間が割かれることになるため、コスト見直しは担当者個人にとってはデメリットのオンパレードなのです。

見直し困難な“ 聖域” あり

課題の2 つ目は、「見直し困難な“ 聖域” あり」です。具体的な内容としては「社内で“ 聖域” 扱いとなっており、見直しの対象外となる領域が多い」を始めとして、「長年、同一の担当者で固定されており、外部からは実情がわからない(蛸壺化)」や「取引先とは今後も取引を継続することが前提での付き合いになってしまっている(馴れ合い)」といった状況が見えてきます。社内に他者の干渉を許さない“ 聖域” を作り出してしまっています。

こういった聖域を打破するためには、経営陣の強いイニシアティブが必須となります。また、聖域に対して一時的にトップダウンで見直しを入れた場合、その後も継続的に見直しが実施され、取引条件や現場のオペレーションが常に“ 見える化” されるためには、社内の組織やルールなどの仕組みづくりが欠かせません。

専門性の不足

次に重要な原因として挙げられるのが、専門的な知見やノウハウに関する課題です。経営層の悩みとして、全社的にコスト削減を展開したいが、各部署や現場担当者に打診しても「毎年しっかり見直しています」「現状が最安値水準でこれ以上の見直しは困難です」という返答しか返ってこないため、実際「本当はどこに改善余地があるのか?」「同業他社と比較して、自社はどの程度なのか?」がまったくわからないということがあります。経営層も現場も適正な価格なのかが判断できない状況にあります。

また、多くの間接コストを担当する総務部では、日常的に多種多様な社内業務を抱える中で、1 年または数年に一度の頻度で契約を更新する費目(通信費、複合機、電気料金、施設管理費など)に関して専門性を高めることは容易でありません。3 年ごとに部署異動や配置転換が発生するため、前任者の知見やノウハウはほとんど立ち消えています。

このような間接コストに関する専門性の不足は多くの企業で見られる課題です。

間接材のコスト削減に向けたポイント

実際に間接材のコスト削減を実施するにあたっては、以下のポイントを押さえる事が重要となります。

仕様やサービスレベルの最適化

単価や料率をどう引き下げるかに着手する前に、そもそも「現在、購買または発注している仕様内容やサービスレベルが、現在の事業状況や現場のニーズとマッチしているのか?」を精査します。5 年または 10 年前に契約した内容であれば、おそらく、その後の市場や事業環境の変化に伴って、現場のニーズと大きくズレていることも珍しくありません。また、 2020 年3 月以降はコロナ禍により、これまでの事業の在り方や従業員の働き方自体が激変しており、半年前/ 1 年前の契約条件でさえ、ゼロベースから見直す必要があります。

仕様やサービスレベルの適正化には下記の4 つの視点から見直し余地を検討できます。

  • アプローチ1.過剰品質の見直し
  • アプローチ2.過剰頻度の見直し
  • アプローチ3.無駄(必要なく廃止すべきもの)をなくす
  • アプローチ4.最新のIT ツールや新サービスによる代替

購買体制の見直し

購買/発注の総取扱金額の大小は単価や料率に大きく影響します。
発注/調達単価の最適化に着手する前に、現時点での自社内の購買体制を再整理し、集中購買、または全社分の購買を一元管理することで、大きな年間取引規模をベースに条件交渉できる環境を整えます。
ボリュームディスカウント効果を最大化する方法としては、4 つのアプローチが考えられます。

  • アプローチ1.全社での取扱分を集約して一括契約/一括支払い
  • アプローチ2.別契約&別支払いでも条件交渉のみ一元化
  • アプローチ3.フランチャイズ店舗分を集約
  • アプローチ4.他社との協業や共同購買でさらなる削減へ

発注/調達単価の最適化

単価を下げる方法として、相見積やリバースオークションを活用する方法があります。これらは有効な手段ではありますが、品質や運用面で実態が伴わなかったり、早々に値上げ要請が来てしまったり等のトラブルに発展する可能性もあります。

ポイントは単価の引き下げ依頼ではなく適正水準を見極めることです。適正化には次の3つの手法が考えられます。

  1. 価格や料率をコスト分解する
  2. 候補となるサプライヤーを定期的に洗い出す
  3. 取引条件や単価をデータベース化し蓄積する

まとめ

今回は間接材のコスト削減を実施するにあたっての課題やポイントについて解説しました。

現在の不安定なビジネス環境下では間接材のコスト削減は着手しなければならない重要な施策の一つです。自社だけでプロジェクトを進めるのが困難な場合や、社内で取り組むリソースが無い、やり方を教えて欲しいなど、間接材のコスト削減に課題をお持ちの方はぜひプロレド・パートナーズまでご相談ください。

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