SCM/物流

物流業界のABC分析とは?ABC分析を行うメリットから手順まで解説!

ABC分析は、商品を重要度や価値に基づいて分類する手法で、主に在庫管理やサプライチェーン・マネジメントなどの分野で使用されます。この手法は、効率的な資源配分と意思決定に活用できるため、様々な分野で適用できる汎用的なツールです。

本記事では、物流業界におけるABC分析の活用方法を詳しく解説します。分析を行うメリットや具体的な手順についても取り上げるので、物流の効率化を図りたいと考える皆様はぜひご参考にしてください。

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ABC分析とは

ABC分析は、売上高、在庫、コストなどの評価軸ごとに商品の重要度を特定する分析手法です。数量や頻度が高い商品に高い重要度を与え、それに基づいて商品をランク分けし、管理方法を検討することで、経営、管理、業務の効率化が可能になります。

この分析手法は、売上分析など、経営や経済の分析の基本とされるパレートの法則に基づいています。イタリアの経済学者ビルフレッド・パレートによって提唱された法則で、全体の数値の8割は、全体を構成する2割の要素が生み出しているという経験則をもとに作られました。

ABC分析では、以下の3つのクラスにアイテムや要素を分類します。

例:アイテム別売上のABC分析

クラス累計売上目安となるアイテム数割合
Aクラス80%20%
Bクラス90%50%
Cクラス100%100%

Aクラス (重要度が高い): これは全体の中で最も重要なアイテムや要素です。比較的少ない割合の商品や、全体の数量の大部分を占めているわずかな数のアイテムで構成されています。このクラスのアイテムには特に注意が必要で、定期的かつ細かな管理が求められます。

Bクラス (中程度の重要度): これは全体の中で中程度の重要度を持つアイテムや要素です。Aクラスほど重要ではないが、全体の中で一定の割合を占めています。これらのアイテムは適度な注意を払いつつ、リソースを割り当てる必要があります。

Cクラス (重要度が低い): これは全体の中で最も重要度が低いアイテムや要素です。数は多いが、個々のアイテムが占める割合は比較的少ないです。通常は基本的な管理で十分であり、過度なリソースの投入は不要です。

例えば、物流における商品の出荷頻度を指標に定めて、ABC分析を行ったとします。

Aグループの商品は最も重要度が高く高頻度で出荷されるため、欠品を起こさないような在庫管理を徹底する必要があります。また、出荷場所に近いエリアに商品を配置して移動距離を短縮することで、ピッキングにかかる時間を削減でき、作業効率の向上が図れるでしょう。

Bグループに関しては重要度が中程度になるため、定期的にAグループより頻度が少ない発注となります。

重要度の低いCグループにおいては、在庫が切れてからの発注で構いません。場合によっては、別商品との入れ替えや取扱い停止を検討することで、売上高の向上が見込めるケースもあります。

ABC分析を行うメリット

ABC分析を行うメリットは、管理や改善などの取組みを効果的、且つ効率的行うことができるようになることです。具体的には以下2点になります。

施策や改善が効果的になる

施策や改善案が複数あるケースで、Aクラスにアプローチできるものへ注力すれば、全体に対して80%の効果が得られることとなり、施策や改善の効果を最大化できます。

施策や改善が効率的になる

施策や改善を推進する場合、必要なリソース(作業工数やコスト)がアイテム数に比例して必要となるケースがあります。その場合、Aクラスに必要なリソースは20%となるのに対して、Cクラスでは50%となります。しかし、その効果は、売上などの数量に比例することが多く、Aクラスでは80%、Cクラスでは10%となります。

ABC分析を行う手順

ここからは、実際にABC分析を行う手順を解説します。

  1. 分析に使用するデータを用意する
  2. 値が高い順に商品を並べる
  3. 構成比・類型構成比を算出
  4. ABCの3つのグループに分類する
  5. データをもとに優先度を決め施策を講じる

1.分析に使用するデータを用意する

まずは、ABC分析に使用するデータを用意します。何を評価軸に定めるかで必要になるデータは異なりますが、一般的には売上高や出荷個数、頻度が軸となるケースが多いです。なお、ここでは出荷個数を評価軸に設定してABC分析を行います。

2.値が高い順に商品を並べる

商品ごとの出荷個数データが用意できたら、次に出荷個数が多い順に並べていきます。
エクセルのフィルターを活用すれば簡単に降順に並び変えられます。

3.構成比・類型構成比を算出

続いて、各商品の出荷個数構成比を計算します。構成比は「商品ごとの出荷個数÷全体の出荷個数」の計算式で求められます。

構成比が計算できたら、累計構成比も併せて算出しましょう。累計構成比は、先ほど算出した構成比を上から順に足していくことで求められます。

4.ABCの3つのグループに分類する

累計構成比が把握できたら、その割合をもとにABCの3つのグループに分類します。分類の基準は累計構成比の数値によって異なるため、自社に適した基準を設定しましょう。一例として、70〜80%を「A」、81〜90%を「B」、91〜100%を「C」に分類するケースもあります。

また、より施策を効果的に行うために、Aクラスの上にSクラスを設定することもあります。その場合の累計数量構成比は、Sクラス50%、Aクラス80%となります。

5.データをもとに優先度を決め施策を講じる

分類した結果をもとに、構成比が高い順に優先度を決めて効果的な施策を講じましょう。出荷個数におけるABC分析なら、優先度の高い商品を出荷場所の近くに配置したり、発注数を増やしたりするなどの施策が効果的です。

なお、インターネット上では、ABC分析を簡単に実行できるエクセルテンプレートが配布されています。これらを活用すればデータを揃えるだけでABC分析を行えるので、興味のある方はぜひ試してみてください。

まとめ

ABC分析は、売上高や出荷個数、コストなど重要視する指標を定めて3つのグループにランク分けし、優先度の高い順に管理する手法です。
各商品の優先度を決めることで、ロケーション管理や発注数の見直しができ、業務効率化や売上向上につなげられます。
しかし、ABC分析の結果だけを鵜呑みにするのは危険です。ABC分析の対象は過去の実績だけです。これから実施する販売施策による売上や出荷個数の上昇は加味されません。ABC分析を行う際は、将来の計画を考慮する必要があることも理解しておきましょう。

ABC分析で現状の可視化・効果的な施策を打ち出し、業務効率化を図りたいという担当者の方は、ぜひ本記事の内容を参考にABC分析に取り組んでみてください。

プロレド・パートナーズでは、現状把握から施策の立案、実行まで、一貫したサポートが可能です。ABC分析で業務効率化や適切なロケーション管理を図りたいが、何から始めたらよいかわからない場合は、ぜひ弊社までご相談ください。

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