SCM/物流

物流業界の課題解決に向けた物流DXとは?事例を交えて詳しく解説

物流業界は、2024年問題による労働力不足や燃料費の高騰など、さまざまな課題に直面しています。これらの課題を解決し、物流業界の持続的な発展を図るために、物流DXの推進は重要です。2023年6月に公表された「物流革新に向けた政策パッケージ」にも、「物流の効率化」の項目において物流DXについて記述がありました。

本コラムでは、物流業界の課題と物流DXで改善されること、現場の課題に基づいた導入事例について詳しく紹介しています。物流現場の改革を考えている担当者の人は、ぜひ記事内容をご確認下さい。
「2024年問題」と「政策パッケージ」については対策ページに詳細がありますので、併せてご参照下さい。

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物流DXとは

国土交通省の定義によると、物流DXとは「機械化やデジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること」とされています。

DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略称で、企業がビジネス環境の激しい変化に対応するために、デジタル技術を活用しながら、業務、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、新たなデジタル時代にも十分に勝ち残れるよう自社の競争力を高めることを指します。

物流業界が抱える課題

物流業界が抱える課題の内、以下3点について説明いたします。

  1. 労働力の不足
  2. 配送リードタイムの短縮と再配達による負担
  3. 燃料費の高騰

1.労働力の不足

日本の総人口は、2008年をピークに減少局面に入っており2050年には、約1億人にまで人口が減少する見通しが立てられています。

以前から働き手の確保に苦労してきた物流業界は、ドライバーや倉庫作業員など、労働力不足がより深刻な状況になると予想されています。働き方改革により時間外労働が制限される中で、より多く働きたい方の離職も深刻な問題です。

2.配送リードタイムの短縮と再配達による負担

国内のEC市場はここ数年で大きな伸びを見せています。

経済産業省が公表した「電子商取引に関する市場調査」によると、2022年の国内の電子商取引(EC)市場規模は、前年比12.3%増の19兆9,750億円と報告されています。

EC市場の拡大にともない、「消費者のニーズはより早く」へシフトし続ける一方です。

限られた働き手で配送リードタイムに対応するとなると、ドライバーへの負担はより高まります。再配達への対応も合わせて考えると、その負担は見逃せないものです。

3.燃料費の高騰

2022年以降、原油価格の高騰により、燃料費は大幅に上昇しました。燃料費の高騰は、物流事業者の収支を圧迫するだけでなく、荷主事業者へも転嫁が進んでいます。

上述の労働力不足による賃金が上昇し、燃料費と併せた物流原価の高騰により、物流業界はこれまでにも増して効率化が求められています。

物流DX推進で改善されること

物流DXの取組みを3点ご紹介します。

  1. 在庫管理の効率化
  2. 最適な配送ルートの選定
  3. 倉庫内の自動化

1.在庫管理の効率化

在庫管理のDX化の方法には、主に次の運用が用いられます

・二次元コード(バーコード・QRコード)

資材や製品にバーコードやQRコードを印刷して貼り、ハンディターミナルでスキャンして在庫管理します。

・ICタグ

在庫にICタグを取り付けてRFIDリーダーで読み込んで管理します

・在庫管理ソフト

製品や部品、仕掛品の数量や在庫情報を管理するためのソフトウェアです

・重量センサー

在庫の重さを自動計測し、リアルタイムの在庫数や変動を記録します

在庫管理の効率化によって得られる最大のメリットは省人化による人手不足の解消です。いままで人の手によって行われていた在庫管理をデジタル化できるようになります。

その他、蓄積したデータの活用やヒューマンエラーの解消など、いくつかの目立ったメリットを得ることもできます。

2.最適な配送ルートの選定

物流DXでは、これまで属人的に行われていた配送ルートを、配送データの活用によって最適化できるようになります。

就業時間の上限が決められる2024年以降では、ルートの最適化による効率化は欠かせません。

3.倉庫内の自動化

物流倉庫の自動化とは、商品の入庫や検品、ピッキングや仕分け作業、梱包と出庫など、一連の倉庫内作業を自動化させていく施策のことをいいます。

倉庫内の自動化を担う主な設備は、自動棚搬送ロボットや自動仕分け機です。自動搬送ロボットは、ピッキングや仕分け、運搬において活躍します。また、自動仕分けは、ピッキング後の商品の仕分けや、出荷準備が整った荷物の出荷先別の仕分けに有効活用されます。

EC物流を担う倉庫を中心として、自動化が増えつつあります。段階的な倉庫内の自動化は今後、欠かせない施策となるでしょう。

物流DX導入事例

国土交通省がまとめた「物流DX導入事例」には、物流DX導入にて成果をだした企業の事例がまとめられています。

数多くの事例の中から4つをピックアップし、詳細を紹介します。

  1. バース予約・受付システムにより待機時間を短縮
  2. 荷下ろしロボットの導入によって荷下ろし作業を自動化
  3. RFIDと仕分けシステムの導入によって生産性向上を実現
  4. 顔認証AI点呼ロボットの導入によって運行管理者の負担を軽減

1.バース予約・受付システムにより待機時間を短縮

バース予約とは、トラックドライバーに貨物の積込み、荷降し時間の予約を可能とし待機時間の短縮を可能とするシステムです。携帯電話と連動して接車の順番が近づいた乗務員に連絡する仕組みも兼ね備えており、バースの効率的な利用も可能となります。

2.荷下ろしロボットの導入によって荷下ろし作業を自動化

手間がかかっていた混載パレットの仕分け作業に荷下ろしロボットを導入し、作業の自動化に成功しました。

毎日1万ケースにものぼる商品の手作業仕分けをロボットに任せることで、大幅な省人化と効率アップを実現しています。導入された「Mujin Robotデパレタイザー」は、カメラで直接判定し仕分けを行うため、事前の登録やオペレーションの必要もなく、導入にかかる工数は最小限で抑えられています。

3.RFIDと仕分けシステムの導入によって生産性向上を実現

無線通信自動認識システム(RFID)や、仕分けシステム「t-Sort」の導入によって仕分け全般の生産性を向上させた事例です。RFIDの導入によって、手作業で認識していた入出荷検品は、ゲートを通すだけで完了できるようになりました。
仕分けシステム「t-Sort」は、人が行っていた作業をすべてロボットが担当し、自動的に仕分けしてくれるシステムです。
生産性向上もさることながら、新しく現場に投入された人が、全般的な作業を覚える時間も大幅に短縮することに成功しました。

4.顔認証AI点呼ロボットの導入によって運行管理者の負担を軽減

顔認証技術等のAIを搭載した自動点呼ロボット「Tenko de unibo」の導入によって、運行管理者の負担軽減を実現しました。2023年5月には関係法令が改正され、自動点呼機器を利用した点呼を「対面による点呼と同等の効果等を有するもの」として認められました。

運行管理のシステム化によって、運行管理業務の平準化や管理レベルの維持も図られました。   

まとめ

2024年問題を目の前にして、物流業界のDXは喫緊の課題です。推進のポイントは、導入できそうなDXについて検討するのではなく、自社の現状把握からDXにより改善したいポイントを明確にすることです。より大きな課題へアプローチすることでDXの効果が最大化されます。

プロレド・パートナーズでは、物流の効率化にともなうコスト分析をもとに、各企業へ最適な改善策を提案しています。業務改善やコスト削減の必要性を感じている担当者の方は、ぜひプロレド・パートナーズへご相談ください。

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