施設管理におけるコスト削減は、多くの企業にとって課題となっています。特に、清掃員や警備員の人件費が過去10年以上にわたり上昇を続け、さらに人材確保が困難な現状において、単純な人件費の削減はほぼ不可能と言えるでしょう。
本コラムでは、2つのアプローチを通じて施設管理コストの削減方法を紹介します。
コストマネジメントのお悩みを解決したい方へ

プロレド・パートナーズでは、コストマネジメントのコンサルティングを承ります。 自社の現状把握や、実行支援をご検討される際にはお気軽にご相談ください。
施設管理コストの主な構成

施設管理コストには、以下のような主要な構成要素があります。
人件費
清掃員や警備員、技術者など、施設管理に従事する人々の賃金や福利厚生費
設備維持費
エレベーターや空調設備、電気設備など、施設内のインフラや設備の維持・保守にかかる費用
エネルギーコスト
電気、ガス、水道など、施設運営に必要なエネルギーや資源の使用料
管理手数料
施設管理業務を外部の専門会社に委託している場合に発生する手数料
その他の経費
清掃用品、警備用機器、廃棄物処理費用など、日常的に必要な消耗品やサービスにかかる費用
施設管理のコスト削減が重要な理由
施設管理コストは、企業の運営費用の中でも大きな割合を占めることが多く、これを効率化・削減することで、企業全体のコスト構造を改善し、収益性を向上させることが可能です。
また、適切な施設管理は、従業員の安全と快適さを確保し、企業のブランド価値を維持・向上させるためにも重要です。
それでは、施設管理コストの削減の2つのアプローチ方法を解説します。
アプローチ1・管理会社とサービス業者の多重構造への切り込み

施設管理におけるコスト削減の第一のステップは、管理会社とサービス業者の多重構造に対する見直しです。多くの企業では、施設管理業務をすべて外部の管理会社に委託していますが、この構造がコストの透明性を損ね、最適化を難しくしています。
1.管理会社の選定と見直し
大手企業では、施設管理業務の多くがイオンデライトやオリックスといった大手の管理会社に委託されています。これらの企業は全国的なサービスを提供し、フルサポートを行っているため、その手数料は10%から25%と比較的高額です。しかし、これらのサービスが本当に必要かどうかを見極めることが重要です。
中堅や地場の管理会社に目を向けると、同等のサービスを提供しながら、手数料は5%から15%程度に抑えられているケースが多々あります。これにより、同じサービスをより低コストで利用できる可能性があります。管理会社を選定する際には、単に価格だけでなく、サービスの質やサポート体制も慎重に評価する必要があります。
2.直接契約の検討
施設管理業務を一括して管理会社に任せるのではなく、サービスごとに直接契約に切り替えることも、コスト削減に有効です。特に、機械警備やエレベーター保守といった、比較的管理が簡単な業務については、直接契約にすることで、管理会社を介さずに10%から20%のコスト削減が実現できます。
直接契約への切り替えを検討する際には、既存の管理会社との契約条件を十分に確認し、手続きに問題がないかをチェックすることが重要です。また、社内での事務処理工数の増加が予想される場合には、その負担を考慮した上での判断が求められます。
アプローチ2・現場でのサービスレベルの最適化

コスト削減のもう一つのアプローチは、現場でのサービスレベルを見直し、最適化することです。特に、清掃業務や警備業務など、人件費が大きな割合を占める業務では、このアプローチが効果的です。
1.サービスレベルの横比較
まず、現場のサービスレベルを他の拠点と比較することが有効です。例えば、複数の拠点で清掃頻度や内容を横並びで比較し、バラツキがないかを確認します。清掃頻度を適正なレベルに統一することで、無駄を排除し、コストを削減できます。
具体的には、例えば床清掃やゴミ収集の頻度を統一し、必要に応じて社員が自ら対応する範囲を拡大することで、清掃員の工数を減らすことが可能です。また、現場の清掃員に直接ヒアリングを行い、清掃頻度の過剰さや無駄な作業を見つけ出すことも効果的です。
2.清掃業者との提案交渉
現場の改善余地を見つけるためには、現状の清掃業者に新規の提案を依頼するのも一つの手段です。特に、新規案件に積極的な清掃業者であれば、より低コストで魅力的な提案をしてくれる可能性があります。
業者を選定する際には、現場調査をしっかり行い、清掃業務の実態を把握することが重要です。また、清掃頻度の見直しに際しては、衛生レベルを維持しつつどこまで頻度を削減できるかを慎重に検討する必要があります。安価なサービスに飛びつくのではなく、品質とコストのバランスを見極めることが求められます。
3.他社との比較検討
他社のサービスレベルやコスト構造を参考にすることも有効です。同業他社の情報は入手が難しい場合もありますが、転職者からの情報や業界内でのネットワークを活用することで、競合他社の事例を学び、自社の改善に活かすことが可能です。
プロレド・パートナーズのコスト削減事例
プロレド・パートナーズでは業種に関わらず多数のコスト削減に取り組んでまいりました。その中の一部をご紹介します。ぜひご参考にしてください。
〈ホテル業のエレベーター保守費コスト削減事例〉
〈銀行の施設警備費コスト削減事例〉
まとめ
施設管理コストの削減に向けた実践的なアプローチを紹介しました。施設管理会社やサービス業者との契約の見直し、そして現場でのサービスレベルの最適化を通じて、より効率的でコスト効果の高い運営が実現できるでしょう。
プロレド・パートナーズでは50費目以上に専門のコンサルタントを配置し、様々な業界・業種の企業様のご相談にお応えしてきました。コスト削減をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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