現代のビジネス環境は、不安定で変化が多く、将来予測が困難なVUCA時代にあるといわれています。この環境下において、経営戦略の見直しを考える企業も多いでしょう。
この記事では、経営戦略とは何か、経営戦略の重要性や種類、策定・実行プロセスについて解説します。また、経営戦略の策定・実行時に直面する課題と解決法についても解説していますので、参考にしてください。
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経営戦略とは

経営戦略とは、競争環境の中において、企業が自社の経営目的や目標を達成するために設ける方針や計画のことです。今現在の経営状況など一時的な問題の解決ではなく、企業の持続的な成長や、将来的な競争優位性の確保に必要な指針です。
経営戦略として検討される内容には、社内の資源をどこに・どのように配分するか、どの市場に参入するか、どの事業を強化するかなどがあります。
経営戦略の主な目的を整理すると、次のようになります。
- 資源配分の最適化:ヒト・モノ・カネといった資源を効果的に活用できる方法を検討します。
- 競争優位性の確保:競争が激化している市場において、企業が自社の強みを活かし勝ち抜く方法を検討します。
- 長期的な事業継続・成長:短期的な利益や状況への対応だけでなく、持続的な事業のあり方や成長を目指します。
- 環境変化への適応:VUCAに代表されるように、企業は予測困難な時代を生き抜く必要があり、技術革新や顧客・市場の変化といった環境変化に対応していくための戦略を定めます。
経営戦略の重要性

近年の企業を取り巻く環境から、経営戦略の重要性は高まっています。
企業を経営していく上で課題となっているのは以下のようなことが挙げられます。
企業間競争・グローバル競争の激化
インターネットやそのほか通信技術の広がりによって、企業間の競争は激化し、国をまたいでのビジネスも一般的になっています。競合が増える環境下でどのように生き残るかが多くの企業にとっての課題になっています。
労働人口の減少
日本では特に少子高齢化による労働人口の減少が問題視されています。現状、企業内に働き手が不足している企業も多くあり、人手不足に関連した倒産も増加しています。人的資源である働き手不足は深刻な問題です。
技術革新や市場の変化
新しい技術の誕生は企業に良い恩恵をもたらすこともありますが、既存のやり方では事業を継続できなくなる可能性も含んでいます。たとえば、IT技術の進歩によって業務改善が狙えるケースがある一方、人工知能やロボットに役割が代替され事業が存続できなくなるケースがあります。
経営戦略は、企業の内側である内部環境と、企業の外側である外部環境の両方を見極めて策定するものです。近年、そして将来的にはさらに激しくなるといわれる変化の時代を生き抜くためには、必須の戦略といえます。
経営戦略の種類

ここまで、経営戦略の定義や目的、昨今問われる重要性について説明してきました。企業のあり方や事業内容はさまざまであり、検討すべき課題もそれぞれです。
ここでは、マイケル・ポーターの提唱した経営戦略のアプローチを3つ紹介します。
コストリーダーシップ戦略
業界内で最も低いコストで、商品やサービスを提供することを目指す戦略です。この戦略によって、競合他社よりも安価な価格で製品を販売し、価格に敏感な顧客を引きつけることができます。実現するためには、大規模生産や効率的な生産プロセスを導入する必要があります。この戦略で成功している企業には、マクドナルドやユニクロなどがあります。
コストリーダーシップ戦略については、以下コラムで詳しく解説しています。
差別化戦略
他社と異なる独自の価値を提供することで顧客に選ばれることを目指す戦略です。この戦略では、製品やサービスの品質、デザイン、ブランドイメージなどをアピールし、価格が相場よりも高かったとしても顧客が購入したくなる理由づけを重視します。この戦略で成功している企業として、Appleや高級ブランド展開企業が挙げられます。
集中戦略
特定のセグメントやニッチな市場に焦点を当て、その市場での競争優位を確立する戦略です。この戦略では、コストリーダーシップ戦略か差別化戦略のいずれかを選択し、市場の中でも特定の顧客層に特化させることが可能です。集中戦略で成功している企業には、他のフランチャイズチェーンと異なる商品に特化したサービスを提供するケンタッキー・フライドチキンや、特定の年齢層をターゲットにした「ファッションセンターしまむら」を展開するしまむらなどがあります。
経営戦略の策定・実行プロセス

続いて、経営戦略の策定プロセスを説明します。
次の3つのステップについて、詳しく解説します。
- 環境分析
- 目標設定と計画立案
- 実行と改善
1.環境分析
経営戦略の基盤を形成するステップです。この段階では、外部環境と内部環境を詳細に分析し、企業を取り巻く状況や脅威、直面する問題や課題を把握します。
主な手法に、PEST分析とSWOT分析があります。
PEST分析は、外部環境を政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の4つの要素に分けて分析するものです。環境の変化が企業に与える影響を把握でき、戦略の方向性を決定するための情報を得ることができます。
SWOT分析は、内部環境と外部環境を組み合わせて、企業の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を整理していくものです。企業がどのように競争優位を築けるか、または、どういったリスクを回避すべきかが明確になります。
2.目標設定と計画立案
環境分析の結果をもとに具体的な目標を設定し、それを達成するための計画を立案していきます。まずは、企業のビジョンやミッションにもとづき、売上、市場シェアの拡大、顧客満足度の向上などの、短期的・中長期的な目標を設定します。
続いて、目標達成のための具体的な計画を立案していきます。資源の配分、責任者の設定、タイムラインの設定なども行います。
3.実行と改善
策定した戦略を実行し、その結果を評価します。必要に応じて戦略や計画を見直し、改善策を考え、次の取り組みに活かすことができます。
経営戦略の課題と解決策

戦略策定時によく直面する課題と、課題解決のためのアプローチを紹介していきます。
戦略策定・実行時によく直面する課題
戦略策定時によく直面する課題の一つは、環境変化です。ここまでも触れましたが、現代の企業は常に社内外の変化にさらされています。戦略の策定中に環境が変化することも少なくありません。また、既に策定してある戦略が効果を失う可能性もあります。
また、別の課題として、リソース不足があります。戦略の策定・実行にあたっては、人的資源、財務資源、時間などが必要です。しかし、多くの企業ではリソースが限られていることが多く、特に中小企業では経営戦略にかけるリソースがないというケースも多く見受けられます。
課題解決のためのアプローチ
先に挙げたような課題を解決する方法として、「フレームワークの活用」「柔軟性を持った戦略の運用」が挙げられます。
フレームワークを活用することで、戦略策定や実行のプロセスを体系化し、効果的に管理することが可能になります。具体的なフレームワークに「OKR(Objectives and Key Results)」「KPI(Key Performance Indicators)」などがあります。
OKRは、挑戦的な目標を設定し、その達成度を測定するためのフレームワークです。
KPIは、目標達成の進捗を測定するための具体的な指標です。これを設定することで進捗が可視化されるため、必要に応じてリソースを再分配することができます。また、定期的なモニタリングや、効果の評価もしやすくなります。
フレームワークの活用に加え、柔軟性を持った戦略運用を行うことで、外部環境の変化や内部リソースの状況に応じた調整や、戦略の強化が図られます。
経営戦略とコスト削減

経営戦略においては、コスト削減も重要な観点となってきます。
まず効果として期待されることは、競争優位性を確保することです。特に価格競争が激しい市場において、効率的なコスト管理により製品やサービスの価格を抑えることは顧客を引きつける大きな要因となります。
また、コスト削減は利益率の向上にも直結します。無駄を省くことで収益性を高めるだけでなく、浮いたリソースを新規事業や技術投資に活用できるため、成長のための基盤を築くことができます。さらに、省エネルギー対策などを通じて環境負荷を軽減することは、企業の持続可能性を向上させ、社会的評価を高める効果もあります。
具体的な手法としては、業務プロセスの効率化やサプライチェーンの最適化、アウトソーシングの活用、エネルギーコストの削減が挙げられます。
一方で、コスト削減には注意点もあります。極端な削減は品質低下や従業員への負担増を招く恐れがあり、長期的な成長を犠牲にするリスクもあります。そのため、バランスを保ちながら、企業全体の戦略と整合性を取ることが重要です。
経営戦略におけるコスト削減は、競争力の強化と収益性向上に直結するだけでなく、企業の成長を後押しとなる取り組みです。適切な方法と視点で進めることで、持続的な成果を実現することが可能です。
まとめ
経営戦略は、企業が持続的に成長し競争優位を確立するために必要不可欠な取り組みです。現代の不安定なビジネス環境では、戦略の柔軟性と適応力が求められます。課題を抱える企業にとっては、専門家の支援を受けることが効果的な解決策となるでしょう。経営戦略はビジネス環境に合わせて見直し・強化していく必要があります。
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