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GHGプロトコルとは?温室効果ガス排出量算定の原則について詳しく解説

企業の経営状況を評価する際に、財務状況だけでなく「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の三つの観点(それぞれの頭文字を取って「ESG」と呼びます)から社会的な貢献度と持続可能性を評価していこうとする動きが活発です。
その中でも企業の環境面での評価に直結するのが、二酸化炭素を始めとする温室効果ガス(GHG:Green House Gas)の排出状況です。そのGHGを算定し報告する際の国際基準のひとつとして「GHGプロトコル」があります。

今回は、このGHGプロトコルの概要と活用メリットについて簡単に解説します。経営者の方や企業においてCSRやエネルギー管理に関わる方は、ぜひ参考にしてください。

GHGプロトコルとは?

GHGプロトコルは2011年10月に温室効果ガス(GHG)排出量の算定・報告に関する世界的な基準として策定されました。
アメリカを拠点とするNGO「WRI(※1)」と、スイスに本部を置く「WBCSD(※2)」という国際事業者170社から成る合議体が中心となり、世界中の事業者・NGO・政府機関など多数の利害関係者の共同活動として各国の政府機関も関与して成立しています。
企業はGHGプロトコルの基準に従って温室効果ガスの排出量を報告することで、国際的にも通用する公正な情報開示が可能になります。

※1 World Resources Institute(世界資源研究所)
※2 World Business Council for Sustainable Development(持続可能な開発のための世界経済人会議)

GHGプロトコル3つの「Scope」とは

GHGプロトコルの特徴は、企業単体のGHG排出量では無く「サプライチェーン排出量」を重視することです。
GHGプロトコルにおいてはGHGのサプライチェーン排出量を、算定の対象とする範囲ごとに「Scope(スコープ)」という表現を用いて3段階に分類しています。

ここでは、Scope1〜3それぞれの定義を解説します。

Scope1(直接排出量)

自社が所有し経営する事業からの直接的なGHG排出量が「Scope1」です。
燃料の使用や生産プロセスにおけるGHG排出量などが算定対象となります。

【Scope1の例】

  • 自社管理のボイラーやガス炉における燃焼排出
  • 事業に使用する車両のエンジン燃焼排出
  • 化学品を生成する工場内からの生成排出

Scope2(間接排出量)

自社が所有・管理する設備や事業活動のために購入した熱・電力エネルギーの使用に伴う、間接的なGHG排出量が「Scope2」です。

企業が調達している電気の種類ごとに「排出係数」が定められており、「購入量✕排出係数」の計算式でGHG排出量が算出されます。Scope2のGHG排出量を削減するためには電力会社の再エネメニューやカーボンフリーメニューだけでなく、自家消費型太陽光発電オンサイトPPA/オフサイトPPAなどによる電力調達手法が非常に有効です。

【Scope2の例】

  • 電力会社から購入した電気エネルギーの使用による間接的排出

Scope3(その他の排出量)

事業者の企業活動に関連する他社の排出まで含めた、Scope1・2以外の間接的なGHG排出量が「Scope3」になります。資源の調達から従業員の通勤、製品の廃棄に至るまで、その対象範囲は多岐に渡ります。

【Scope3の例】

  • 原材料や部品、包装等が製造されるまでの活動に伴う排出
  • 自社の生産設備の増設などに伴う排出
  • 調達燃料や電力等の上流工程(採掘、精製等)に伴う排出
  • 購入した製品やサービスのサプライヤーから自社への物流(輸送・荷役・保管)に伴う排出
  • 自社が販売した製品の最終消費者までの物流(輸送・荷役・保管)に伴う排出
  • 自社で発生した廃棄物の輸送や処理に伴う排出
  • 従業員の通勤や出張に伴う排出
  • 消費者による製品の使用や、製品の廃棄処理に伴う排出

「Scope3」については次のコラムでも詳しく紹介していますので、合わせてお読みください。

GHGプロトコル5つの算定と報告の原則

事業者のGHG排出量を正確かつ公正に表わすことを担保するために、GHGプロトコルではすべての基礎となる五つの原則を定めています。

①妥当性(Relevance)

事業者の法的な形態だけでなく、事業の実体や財務上の実質的な関係を反映した適切な「境界(boundary)」を定義することが妥当性の原則になります。

②完全性(Completeness)

定義された境界内において、あらゆるGHG排出源及び関連する活動を説明することが必要とされています。どのような特別な例外であっても、それについて言及し、その正当性を示すことが必要です。

③一貫性(Consistency)

排出量のパフォーマンスに関して、一定の期間に渡って、有意な比較をできるようにするために、同一の算定基準と境界、算定手法を一貫して適用することが求められます。

報告原則を変更する際には、明確に言及し、継続的な意味のある比較を可能にする必要があります。

④透明性(Transparency)

GHGプロトコルは外部の第三者による検証を前提とします。適切な監査は情報の正確性と透明性を保証するものであり、その信頼が外部の評価に直結します。

算定に用いた重要な仮説や、利用した計算方法を実施するために参照した資料を公開することが求められています。

⑤正確性(Accuracy)

GHG排出量の算定を行うためのデータは、実際の排出量を過大または過少に評価することのない正確なものであるべきです。

事業者は不確実性をできる限り排除するためにとった手段を報告し、算定結果の精度を高めるように努めなければなりません。

GHGプロトコルに取り組むメリット

GHGプロトコルを利用してGHG排出量を明らかにすることのメリットについて整理してみます。

1.自社のGHG排出量を可視化し、排出量のボリュームゾーンを特定できる

GHGプロトコルを用いて、GHG排出量を算定することで、排出量のボリュームゾーンを特定することが可能となります。

自社で設定した目標の達成に向けて取り組みを進める際や、外部からの削減要請があった際に、まずは削減すべきポイントを把握しておくことが肝要です。

また、Scope1,2だけでなく、Scope3まで算定を行うことで、自社製品のGHG排出量の把握及び削減活動に繋げることが可能となり、他社との差別化要素として提案することも出来ます。

企業に求められる報告と目標設定も年々厳格化する可能性が考えられるため、自社の定量化手法を早期に確立することには大きな意味があるでしょう。

2.企業のGHG削減への取り組み姿勢を明示できる

GHGプロトコルによるGHG排出量の算定は、CDPSBTRE100などの気候変動対策を目的とする国際イニシアチブへ参加する際の報告に必要となります。

国際イニシアチブへ参画することで、機関投資家などからESG投資を呼び込むことにつながります。その結果、企業の資金調達および経営の安定化にも貢献するでしょう。

まとめ

ここまで、GHGプロトコルの概要と導入メリットについて解説してきました。

地球温暖化対策として日本政府より、「2050年カーボンニュートラル宣言」が出されていることや、国際的な脱炭素化の機運も高まっていることからも、企業経営にとって今後避けて通れなくなるでしょう。

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