1960年代にトヨタ自動車が先駆けて始めたと言われている5Sについてご存知の方も多いと思います。生産性を上げるための活動として、製造業を中心に様々な業界で実施されています。物流業における倉庫においても5Sは生産性アップのために欠かせない活動です。

本記事では、5Sが職場にもたらすメリットと、取り組む際に注意したいポイントをまとめています。5Sを職場に浸透させたいと考えている担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

物流倉庫の「5S」とは？

5Sとは、製造業やサービス業などの職場環境を改善、維持する際に用いられる活動の一つです。各現場での改善の基礎作りを5つにまとめたもので、4S運動に躾（しつけ）を加えた5項目が5Sと呼ばれています。

5つの項目は次のとおりです。

• 整理：必要なものだけを残し、不要なものを処分する
• 整頓：必要なものを定位置に置き、取り出しやすい状態にする
• 清掃：ゴミや汚れをなくし、清潔な状態を保つために掃除する
• 清潔：整理・整頓・清掃を継続的に行うことで、清潔な状態を維持する
• 躾（しつけ）：5Sを習慣化する

整理整頓、かつ現場をきれいに保つことを徹底して周知することが掲げられています。当たり前のようですが、当初は守られていたルールが次第に形骸化し、いい加減になることはよくあります。

トヨタ改善方式を導入している現場では、5Sが徹底されており一定の品質を維持し改善のタネを見つけることに役立っています。

「5S」を行うメリット

現場で5Sを取り入れる具体的なメリットを3つのポイントにて、説明します。 

安全の確保ができる

労働契約法には、労働者がいつも健康かつ安全に仕事ができるよう、環境を整える義務が明示されています。会社側は、従業員に対する安全への配慮を常に考えておかなければいけません。安全の確保という観点から、5Sの徹底は職場へ大きなメリットをもたらします。

乱雑で整理整頓されていない職場は、気づかないところで従業員の労働意欲低下にも繋がります。きれいに整頓された職場で気持ちよく働ける環境を整えることは、企業にとってとても大事なことです。5Sが徹底された職場では、整理整頓とこまめな清掃が行き届いており、すみずみまで安全への配慮が行き届いています。
ゼロ災の実現は、5Sの徹底があってこそのものです。

業務の効率化（改善）ができる

整理整頓や清掃が徹底されていると、必要なものがどこにあるのか、ひと目で判断できるようになります。物が乱雑に放置され何がどこにあるのかわからない状態では、いつまでたっても業務の効率化を推進することはできないでしょう。

5S徹底のメリットは、整理整頓による異常の可視化にあります。整頓された現場では異常が可視化されていますので、ムダに気が付きやすくなります。そしてそのムダを取り除く改善活動の成果も向上します。
物流や製造の現場における改善の基本は5Sの徹底といっても過言ではありません。

職場の改善が促進される

5Sの徹底は、安全の確保や業務の効率化の他にもいくつかの改善が期待できます。

・生産性の向上
5Sが徹底された現場は快適です。整理整頓により不明な点が少なく、清掃・清潔により職場環境も衛生的でメンタル面でも良い影響をもたらします。

・コミュニケーションの活性化
5S活動を通じて、職場全体の意識が向上し、コミュニケーションが活性化することにより改善につながります。

物流倉庫で「5S」を行う際のデメリット

5Sは正しく取り組めばデメリットは生じませんが、取り組む姿勢によっては、5Sをおこなうことでデメリットを生み出してしまうケースもあります。

まず、5Sを徹底するために大事なことは従業員の理解を得ることです。正しく理解が得られず、見切り発車のまま5S活動をスタートしてしまうと、お互いの意思の疎通が図れず、5Sの達成そのものがゴールになってしまい、本質から遠ざかってしまいます。また、目的を理解しないまま5S活動に参加した従業員は「やらせ感」を抱いてしまいます。

5Sはスタートしてすぐに効果が現れないため、短期的な成果を求めすぎることは望ましくありません。5Sを継続するためにかかる備品などの費用についても、事前によく確認しておき予算を組んでおきましょう。

まとめ  

5Sは製造業や物流業の倉庫管理において、とても重要な活動です。また、店舗のバックルームなど、5Sが活用できる現場は他にもあります。5Sの徹底によって改善の基礎がつくられ、ムダを省いた効率的な業務の実現が可能となります。
在庫管理や入出荷作業において無駄のない導線が構築されているか、5Sを元に見直してみてはいかがでしょうか。

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