デジタル化が加速する現代において、企業に必須の情報システム部。社内環境を整備するだけでなく、コスト削減やリプレイス戦略によって大きなインパクト生み出す部門でもあります。
この記事では、情報システムの役割やコスト削減について、詳しく解説します。
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情報システム部の役割とその重要性とは
「情報システム」とは、情報の処理や伝達、保管などを行うシステム全般のことです。具体的には、コンピュータ、ネットワーク、ソフトウェア、データベースなどがあります。「ITシステム」と呼ばれることもあります。
「情報システム部」「情報システム部門」、名称を略して「情シス」と呼ばれる部門は、先に述べた、情報システムの導入、保守、管理を担う役割を持っています。
情報システムの部門は、デジタル化が進んだ現代において欠かせない存在となっています。加えて近年は、デジタル技術による変革を指す「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉もよく耳にするようになりました。積極的にデジタル投資を行い、自社の生産性向上を狙う企業も増えています。情報システムに関する費用も増加傾向にあるとされています。
そのため、情報システムに関しては生産性向上などが期待される一方で、コスト削減へ期待感も大きくなっています。情報システムに関するコストを抑えることで会社全体に大きく貢献できる可能性があるのです。「使用しているソフトウェアを解約する」といった単純なコストカットだけではなく、コストパフォーマンスの良い仕組み作りが大きな効果を生むこともあります。
情報システムを整備することでビジネス環境を整え、高いコストパフォーマンスを実現することで、予算的にも貢献ができます。
情報システムのコスト構造
情報システムのコスト構造については次のようなものがあります。
・初期導入費用
新たな情報システムを導入する際に発生する費用のことです。
・維持管理費用
導入した情報システムを維持するために必要な費用です。例えば、機器であれば定期的な点検や修理が必要となります。
・運用コスト
情報システムを運用していくために必要なコストです。例えば、外部の企業と契約して利用しているソフトウェアであれば、使い続けるために定期支払いが必要になることがあります。
情報システムの関するコストには、目に見えづらいコストも含まれます。
例えば、従業員の人件費です。導入したものが使いづらい、使用までに手間が多くかかるといった場合、情報システム部門の人材の時間を奪っている可能性があります。また、使いづらさやわかりづらさから、従業員の生産性を下げてしまう可能性もあります。
コスト削減の基本戦略
情報システムのコストを削減するための基本戦略は次の4つです。
・資産の最適化
自社の資産とコストを正しく把握し、最適な形を探ります。例えば、パソコンやスマートフォンといった機器の配置状況、ソフトウェアの導入状況と活用度の確認、使用されているシステム・使用されず放置されているシステムの確認を部門や業務ごとに行います。具体的なコストを算出し、削減できる部分がないか検討・実施していきます。不要なコストを洗い出し削減することで、必要な部門・業務に充てる資産を確保できます。
・プロセスの効率化
先に述べたように、「従業員にとって使いづらい」「情報システム部門の手間がかかる」部分も見直すべきです。情報システムを導入し、運用していくにあたって、社内全体にどのような影響が出るのか可視化するのがよいでしょう。検討段階でうまく扱えないとわかれば他の方法を検討することもできます。導入後は、情報システム部門と他部門のコミュニケーションがスムーズに行われているか。必要な資料やマニュアルは整備されているかを確認し、全社的なストレスが少ないやり方を目指すことで、プロセスの効率化が期待できます。
・外部リソースの活用
場合によっては、自社で担うよりも外部に委託する(アウトソーシングを活用する)方が、低コストで実現できる業務もあるでしょう。情報システム部門の人材の時間を確保できるようになり、より集中してほしい業務に専念してもらうことができます。
・自動化と標準化
プロセスの効率化とも通ずるものですが、人力で動いている社内の仕組みを自動化する、理想の形に標準化することで、業務の効率化と人件費削減が狙えます。自動化にあたっては、既存の仕組みを可視化します。また、検討することに偏りがないよう注意が必要です。例えば、部門ごとの違いはないか、ノウハウに差がないかなどに注意する必要があります。自動化を行う前・後それぞれにおいて、必要な範囲に必要なものが行き届いているか確認し、課題があれば解決を目指します。
効果的なコスト削減方法
ここでご紹介するコスト削減方法は次の3つです。
- クラウドソリューションの活用
- サービス統合とサードパーティ製品の利用
- IT資産管理とライフサイクル管理
それぞれ注意点などもあわせて解説します。
クラウドソリューションの活用
「クラウドソリューション」とは、クラウドサービスを活用することで自社の問題を解決することです。
クラウドサービスは、インターネットを経由してソフトウェアやアプリケーションなどを利用できるサービスのことです。自社で環境構築や運用を行う必要がないため、コスト削減が期待できます。
現在、企業向けに提供されているクラウドサービスは様々あります。サービスやプランによって特徴があるため、検討する場合は自社に合っているかどうか確認するとよいでしょう。
クラウドサービスを比較する際に1つの指標として、形態が「パブリッククラウド」か「プライベートクラウド」か「ハイブリッドクラウド」か、ということがあります。
「パブリッククラウド」とは、サービス提供会社が用意したクラウドサーバーを複数の企業で共有して使用するものです。コストが低く使い始めやすい傾向にあります。
「プライベートクラウド」はこれと異なり、クラウドサーバーを1つの会社で利用します。自社向けにカスタマイズができることがある、フレキシブルな対応が期待できる一方で、コストが高い傾向にあります。
「ハイブリッドクラウド」は、「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の両方の面を併せ持っており、それぞれのよい部分を活用するためのクラウドです。
クラウドサービスを実際に導入してからも、適切なコストかどうか確認することが重要です。時間とともに会社の状況は変化していきますし、外部環境もまた同じです。クラウドコストが適切かどうか見定め、必要があれば別のものへ変更する・利用をやめるという判断も必要です。
サービス統合とサードパーティ製品の利用
コスト削減・利便性向上の観点では、使用するサービスの統合も重要です。機能が重複している複数のサービスを利用している場合は、どちらかの利用をやめることもコスト削減につながります。
自社用に開発したシステムやソフトウェアではなく、外部の企業が提供する製品を「サードパーティ製品」と呼びますが、これらの中には他企業の製品とも互換性があり、安価で使い勝手がよいものも多く存在します。
サードパーティ製品の導入を検討する場合、自社の使用条件に合うか確認しましょう。耐久性や保証面はどうかも見定める必要があります。
サードパーティ製品を導入した場合は、製品が期待通りの動きをしているかどうかの監視と、サービスレベルの評価を行うべきです。特に他のシステムと連携させている場合は、おかしな挙動がないか確認が必要です。安く導入でき、使い勝手のよい製品だからこそ、監視と評価によってリスク管理を行うことが重要です。
IT資産管理とライフサイクル管理
IT資産とは、パソコンなどの機器、ネットワーク機器・設備やソフトウェアなどの総称です。IT資産取得後の管理は、情報システム部門にとって重要な役割の1つです。
IT資産はハードウェアとソフトウェアに分けることができますが、それぞれに特徴があり、必要な管理方法が異なるため注意が必要です。IT資産が多い会社の場合、管理にかかる手間が多いため、IT資産管理のソフトウェアを活用する場合が多いです。
IT資産管理が重要な理由は様々あります。IT資産を正しく認識していないことで起こる追加購入を防ぐ、社内の窃盗等の不正を防止するなどです。固定資産税の申告とも関連するため、社内だけの問題に留まりません。
資産管理を正しく行っていくと資産のライフサイクルも把握できます。ライフサイクルがわかるとリプレイス・修繕・更新のタイミングが把握でき、必要なIT資産がそろっていないといった状況を未然に防ぐことができます。
老朽化した資産のリプレイスにあたっては、様々な戦略を練ることも可能です。大掛かりなリプレイスであれば成功のインパクトも大きく、社内改革につながる可能性もあります。老朽化した資産がある状況をもとに今後どういった戦略を採るか考える、重要な機会です。
コスト削減を進める際の注意点
コスト削減を進め際には注意しなくてはいけないこともあります。
従業員の抵抗とその対策
使用する機器やソフトウェアが変わるとなると、従業員が抵抗を示すこともあるでしょう。事前のヒアリングで従業員の業務を理解し、実態に合ったものの導入を検討すること、導入から使用にあたって従業員が不安を感じないような体制を作ることが重要です。
透明性の確保と信頼関係の構築
なぜ行うのか、行った結果どのような成果が出ているのかを従業員と共有できる状態が好ましいでしょう。コスト削減という目標に対しての進捗をオープンにすることで社内からの信頼が強まります。
コミュニケーションの重要性
何をするのか、どう変わるのか、どう扱うのか、しっかりと伝え標準化することが重要です。コミュニケーションの回数が多ければよいわけでもありません。やりとりが複数回にわたることでストレスを感じてしまうこともあります。あくまでもコミュニケーションの質にこだわり、少ない回数で十分に伝わる仕組み作りを意識するとよいでしょう。
まとめ
この記事では、情報システムの役割やコスト削減について解説しました。
情報システム部門は、企業のデジタルインフラを支える重要な役割を果たしています。その一方で、情報システムにかかるコスト削減は、企業全体の財務健全性にも直結します。基本戦略としては、資産の最適化、プロセスの効率化、外部リソースの活用、自動化と標準化が重要です。また、クラウドソリューションの活用やサービス統合などが効果的な手段として挙げられます。これらを適切に実行することで、コスト削減と業務効率化が期待できます。
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