SCM/物流

パレット輸送とは?種類やメリット・デメリットを詳しく解説

2024年問題の対策で、物流効率化の課題の一つとして挙げられているのは、パレットの活用です。政府が発表した物流政策パッケージでも触れられていますが、パレット輸送により、輸送に付随する荷役作業が大幅に効率化されます。普段からパレット輸送を前提としている荷主企業の皆様は、パレット輸送を当たり前に感じると思います。しかし、食品業界など特定の業界ではバラ積みバラ降しの輸送が多く残っています。

本記事では、パレット輸送のメリット・デメリットを中心に対応すべき課題など、詳細に説明しています。パレット輸送について検討段階にある人は、ぜひ記事内容をご確認ください。

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パレット(輸送)とは

パレット輸送とは、パレットと呼ばれる平たい荷台の上に貨物を置き、パレット単位で輸送することを指します。

パレットはフォークリフトを使って運ぶことを前提とした設計になっており、パレットごとフォークリフトでトラックへの積込みと取卸しを行います。倉庫内の保管もパレットを利用していることが多いため、保管で利用したパレットごと積込みを行うことで、積込み時間の大幅な短縮が図れます。

倉庫での保管、輸送、納品先での保管まで同じパレットで物流を行うことを「パレチゼーション」と言います。また、工場から物流センター、物流センターから納品先と複数の輸送と保管が同じパレットで行われることを「一貫パレチゼーション」と呼びます。

パレットの種類

パレットの主な種類は次の通りです。

・平パレット

すのこを上下に組み合わせたような平たいパレットです。上下の間には空洞があり、フォークリフトの爪を差し込めるようになっています。

荷物の管理や移動の際に活躍する最も一般的なパレットです。

・ボックスパレット

様々な素材の網で作られた箱型のパレットです。荷物を箱の中に入れて運ぶように作られています。箱の壁になっている部分は取り外し可能となっているものが多いです。体育倉庫にあるボール入れに似た形状をしています。

・ロールボックスパレット

物流現場では、かご台車とも呼ばれるパレットです。個人宅配などのサイズの異なる荷物を効率的に積載することができ、パレットの下面にタイヤが付いていることから、フォークリフトが無くても運搬が可能です。コンビニやスーパーへの納品でも多く利用されています。

・タンクパレット

液体を運ぶためのパレットです。タンクパレットは液体を入れるためのタンクが内部に備え付けられています。

パレット輸送のメリット

パレット輸送のメリットは主に次の3点です。

  1. 荷役作業に必要な時間が短くなる
  2. 荷役時の破損リスクが低減される
  3. トラックドライバーの負荷が軽減される

1.荷役作業に必要な時間が短くなる

トラックへの積込みと荷降ろし作業が、手作業と比較すると格段に速くなります。手作業の場合は、1~2時間を要することがほとんどですが、パレット積みであれば30分以内に終了することが出来ます。

2.荷役時の破損リスクが低減される

バラ作業と比較し、荷物を触る回数が減るため、貨物事故の発生リスクを押さえることができます。最初の積込み場所を出てから最終的な納品先まで、何度も手作業が発生するケースでは、貨物事故が発覚した際に、発生場所の特定が難しいこともあります。

3.トラックドライバーの負荷が軽減される

パレット輸送では手作業で貨物を扱うことがありませんので、作業負荷が低くなります。また、上述のとおり、荷役時間の短縮により労働時間も短くできます。

パレット輸送のデメリット

効率的な輸送を可能にするパレット輸送にもデメリットがあります。ここでは、3つのデメリットを紹介します。

  1. パレット作業体制の構築
  2. 納品先からのパレット回収
  3. 積載率の低下

1.パレット作業体制の構築

パレット輸送は、パレットごと輸送するため、移動させるにはフォークリフトが必要です。したがって、出荷場所と納品場所に十分な数のフォークリフトを準備する必要があります。また、安全面を考慮すると、作業場所に不慣れなトラックドライバーにフォークリフト作業を委託するより、出荷や納品場所で普段から作業するフォークリフトオペレーターがフォークリフト作業を行うことが望まれます。

2.納品先からのパレット回収

ワンウェイパレットと言われる使い捨てのパレット以外は、荷物の輸送後のパレット回収を行わなくてはなりません。通常、荷物の輸送を行ったトラックの復路を活用してパレット回収行いますが、追加料金が必要となるため、輸送費が上昇します。

3.積載率の低下

パレット輸送では、パレットの体積分だけトラックへの積載率が低下します。バラ積み輸送ではトラックの天井まで高く貨物を積上げて輸送しているケースもあります。その場合、バラ積みのトラック1台で輸送できていた貨物量が、パレット輸送においては1台では運べなくなります。

また、貨物のケースサイズが、パレット輸送用に設計されていない場合は、パレットの面積を有効活用できず、パレットの端と貨物の間に隙間ができ、積載率の更なる低下が発生します。

2024年問題に向けた変化

2024年問題が近づくにつれて、パレット輸送のニーズが加速しています。これまでバラ積み輸送を担ってきた物流企業から、バラ積み輸送を断られるケースも発生し、荷主企業のパレット輸送検討に対する温度感も上がっています。

最後に、パレット輸送を推進するキーワードをご紹介します。

  1. レンタルパレット
  2. 標準化
  3. パレットに合わせたケースサイズの変更

1.レンタルパレット

デメリットに記載したパレット回収の問題を解決するのがレンタルパレットの活用です。

大手のパレットレンタル会社が提供するパレットを活用することで、パレットの共同回収が可能となります。納品時にパレット回収を行う必要がなく、納品先は他社が持ち込んだパレットと同様に管理し、パレットレンタル会社へまとめて返却します。

2.標準化

荷物の効率的な運搬を目指すべく、行政が主導しパレット標準化推進分科会が開催され、あらためて推奨規格など方針が示されています。推奨規格のサイズは1100mmx1100mmとなり、パレット全体の30%程度と推計されます。

分科会では、規格の設定と同時に、レンタル開始から返却までの運用に関するシステム構築等も検討されています。

3.パレットに合わせたケースサイズの変更

パレットの標準化に伴って、積載するケースサイズの変更も検討課題の一つです。これまでパレット輸送を主としていなかった荷主企業では、パレット積載を前提としてケースサイズを再設計する必要があります。

まとめ

パレット輸送は、バラ積みバラ降しの輸送に比べて輸送リードタイムの短縮が可能となり、2024年問題で課題となっている発着待機時間への効果的な解決策となります。

プロレド・パートナーズでは、パレット輸送導入による収支シミュレーションやケースサイズの再設計についてご支援を行っております。パレット輸送を検討している担当者の方は、ぜひプロレド・パートナーズへご相談ください。

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