少子高齢化による学校法人間の競争等、厳しい環境下での運営を強いられている学校法人が法人運営を続けていくためにはコスト削減の意識が重要です。しかし、学校や大学の経営者は一般企業に比べるとコスト削減への意識が低い場合があり、経費削減が十分ではないケースが多く見受けられます。
今回は「間接材コスト削減」の今すぐできるアイデアをご紹介いたします。ぜひこちらの記事を参考に学校法人のコスト削減に取り組んでみてください。
コストマネジメントのお悩みを解決したい方へ
プロレド・パートナーズでは、コストマネジメントのコンサルティングを承ります。 自社の現状把握や、実行支援をご検討される際にはお気軽にご相談ください。
学校法人でコスト削減するために必要な最初のステップ
コスト削減に取り組むにあたってまず最初に取り組むべきことは「事前分析」と言えるでしょう。年間で何にいくら支払っているのかを全体把握しなければ、どの費用を削減すべきかを判断できません。
ではどうやって全体把握をしたら良いのでしょうか。その方法としては総勘定元帳を分析するのがおすすめです。処理データの集合体である総勘定元帳から分析することで全社の支払いデータを一括で確認することができます。ただし、分析するためデータの加工が必要となります。
「年間支払額の大きいもの」や「取引先との契約更新タイミングが近いもの」、「市況トレンドが下落傾向にある費用」などが削減見直しの優先順位の高いものと言えるでしょう。このような様々な観点からコスト削減に取り組む優先順位を付けることで、効率的にコスト削減に取り組むことが出来ます。
学校法人の経費の割合
学校法人の場合、人件費(教員・事務員)の割合が経費のほとんどを占めます。しかし、人件費の削減は学校運営そのものに影響を与えますので安易な削減はご法度です。また、教育研究費についても同じことが言えるでしょう。
人件費と教育研究費を除いた学校法人の経費の割合は委託費:28%、水道光熱費:8%、消耗品費:6%、印刷費:5%、その他:53%程度となります(弊社調べ)。
委託費とは、清掃・警備、設備保守(エレベータ―保守や消防設備保守)などの費用やコールセンターや税理士・弁護士の費用も含みます。印刷費はパンフレットや試験などの印刷物全般を指し、複合機のカウンター料金も含みます。
学校法人のコスト削減における注意点
学校法人におけるコスト削減について、十分に注意しなければならない点があります。先にも述べましたが、それは「人件費」や「教育研究費」など教育機関として教育の根幹をなす部分の費用をむやみに削減しないことです。
教育の質が下がることにより生徒の満足度が下がると、生徒数が減り授業料や入学金などの収入が減ってしまう事や、研究費の不足から教員の転職などを引き起こす可能性があります。
現在ではインターネットの口コミなどによりマイナス要因はすぐに拡散してしまいますので、教育機関として根幹をなす部分の費用の削減には特に慎重に検討しましょう。コスト削減に囚われるあまり、本来必要な部分の費用の削減は学校運営そのものに影響を与える可能性がありますので十分注意しましょう。
学校法人における7つのコスト削減アイデア
コスト削減できる費用は多く存在しますが、ここではその中から7つをご紹介します。自社でも取り組める内容となっていますので、まずは出来ることから取り組んでいきましょう。
1.エネルギー費
エネルギー費にはガス代も含まれますが、ここでは企業において使用が多く、コスト削減効果の高い電気代について取り上げます。使用量を削減する方法と、契約している電力会社やプランの切り替えによりコスト削減する方法があります。
- ロビー、ホール、事務室等、部屋・場所に応じた温度を設定する。
ポイント:空調場所、部屋の用途に応じた適切な空調温度に設定し無駄な運転を防止する。
- LED照明を導入する
ポイント:白熱電球に比べ電力の利用効率が高く、例えば「白熱電球60W型に相当する明るさ」というLED電球の消費電力は10W程度である
- 電気料金の支払い方法を見直す
ポイント:口座振替にすることで割引が適用される場合がある
2.清掃費
清掃費とは、清掃業者に自社の清掃を委託する場合にかかる費用を指します。清掃費は、どの範囲を業者に委託するかでコストが大きく変わります。自社に最適な体制を決定することが重要となります。
- 既存の業者に価格交渉を行う
ポイント:単純な価格交渉だけでなく、清掃内容を見直すことで価格交渉余地があるか探ることが出来る
- 効率の悪い作業や過剰な人員の配置が行われていないか、勤務実態の確認を行う
ポイント:古い清掃方法で作業していることにより、効率が悪い作業が行われている場合がある
- 清掃仕様書を確認し、清掃の頻度・内容が過剰でないか精査し、過剰仕様を削減する
ポイント:他の支店等とも見比べ、不要なものはできるだけやめる。社員でできる清掃は実施しない
3.警備費
警備費とは、警備会社に学校の警備を委託する場合にかかる費用を指します。警備費は業種によって必要となる警備のレベルが異なり自社に最適な警備体制を決定することが重要となります。
- 警備員の人数、時間が過剰でないかを確認し、過剰であれば削減する
ポイント:他の校舎や同業他社の状況と見比べ、過剰な場合はやめる
- 可能な限り機械警備に切り替え、警備員の人数を削減する
ポイント:初期投資が掛かるが、警備システムの導入により防犯度も高められる
- 複数拠点を有している場合は、警備会社を可能な限り統一する
ポイント:統一することでボリュームディスカウントによるメリットを創出する
4.備品・消耗品費
事務・消耗品費とは、ボールペン、ハサミ、のり、伝票類の作成や事務処理に係る費用のことです。会社一括購入により単価を下げる方法や、従業員のコスト意識を高めることによって数量を削減する方法等があります。
- 基本的にすべての商品に対して価格交渉を行う
ポイント:今まで購入している事務用品や消耗品はすべて協議を行う。
- 総務部門の一括購入とする。
ポイント:購入部門を1つにまとめて管理することで、各部署で制限なく購入してしまう状況を防ぐ。
- PCにインストールするソフトは使用するものだけにする
ポイント:職種等によって使用しないソフトも存在するので、それぞれの社員に合わせて必要なソフトだけをインストールする。
5.通信費
通信費とは、電話、FAX、インターネットにかかる費用です。ITの活用が進み年々コストが増加している費用の一つですので、今こそ見直しが必要な費用です。最適なプランの選定が最も重要なポイントになります。
- 定期的に複数の通信業者にプランの提案を依頼し、最適なプランを選定する。
ポイント:コストと運用面のバランスが最適なプランを選定する。
- 不要な有料プランは解約する。
ポイント:携帯電話であればキャッチホン、電話帳バックアップ等の有料オプションについて、不要であれば解約する。
- 拠点ごとになっている契約を集約する
ポイント:店舗等複数拠点がある場合、個々で契約するのではなく、本社等一箇所に契約を集約することで、割引率を高める。
6.コピー料金(複合機)
コピー料金とは、複合機の本体価格と月々のチャージ料金を指します。複合機本体はリース形式が一般的となっています。チャージ料金はコピーの使用枚数1枚ごとに課金される形式となっており、保守と併せて保守点検費用という名目になっています。
- 業者にカウンター料金の単価を交渉する
ポイント:複数社に相見積をとる。定期的に料金の見直しを依頼する。
- 使用枚数を月ごとに集計、掲示する
ポイント:毎月使用枚数を掲示することで、コストへの意識を高める。
- 保守契約を切り替える
ポイント:2台以上の場合、フルメンテナンス契約から、必要に応じて依頼するスポットメンテナンス契約に切り替える。1台のみ場合、故障時は素早い修理が必要なので、フルメンテナンス契約において交わしておいた方が良い。清掃費とは、清掃業者に自社の清掃を委託する場合にかかる費用を指します。
7.広告・宣伝費
広告宣伝費とは、商品やサービス、会社などを広く一般に売り込むための広告や宣伝、販促等にかかる費用のことを指します。代理店手数料や無駄な広告を減らす施策が効果的であり抜本的に見直すならばROIの視点も重要になってきます。
- チラシやDM、POPの印刷費を削減する
ポイント:格安な印刷会社に入稿し、印刷費を削減する。フルカラーから2色刷りに変更する
- ソーシャルメディアを活用する
ポイント:FacebookやX(旧Twitter)、LINEなどを利用しネットでの拡散を図る
- 広告宣伝費の効果測定を行う
ポイント:投資効率を用いて、広告宣伝費による効果があるかを検証する
ノンコア業務のアウトソーシング
現在多くの業界で人材不足・人手不足が問題となっています。この問題を解決する一つの手段としてアウトソーシングを有効的に活用しましょう。活用方法の一つとしてノンコア業務のアウトソーシングがお勧めです。それは、ノンコア業務をアウトソーシングすることで、自社の優秀な人材はコア業務や新規事業に専念させることで売上UPや経営改善を望めるからです。
人件費は経費の中で大きな比率を占める費用です。しかし、安易に削減することは会社全体の事業活動に影響するため削減が大変難しい費用です。アウトソーシングを活用することで人件費を抑えることも可能になるのです。
まとめ
学校法人で取り組むコスト削減手法についてご紹介しました。ご紹介した費用以外の削減についてもそれぞれの費用の特徴にあった削減方法が存在します。プロレド・パートナーズで自社でのコスト削減に役立つガイドラインを無料でダウンロードできる資料をご用意しておりますのでぜひご覧ください。
また、プロレド・パートナーズでは人件費と研究開発費を除くコストを間接材コストと名付け、間接材コストの削減を専門に取組んでおります。自社で取り組んだが行き詰っている、そもそも何から始めていいかわからないなどのお悩みをお持ちの方はお気軽にご相談ください。
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