コストマネジメント

百貨店のコスト削減とは?最重要施策といわれる理由と削減アイデアを解説

百貨店の経営において「売上増加」と共に重要な施策となるのは「コスト削減」です。無駄なコストを削減することは、企業の余計な支出を減らし利益率を増加させる効果があります。

あまり知られていなませんが、コスト削減は基本的な手法があり、その点で売上増加よりも簡単かつ効率的に効果を上げやすい施策と言えるでしょう。ぜひこちらの記事を参考に百貨店のコスト削減に取り組んでみてください。

コストマネジメントのお悩みを解決したい方へ

プロレド・パートナーズでは、コストマネジメントのコンサルティングを承ります。 自社の現状把握や、実行支援をご検討される際にはお気軽にご相談ください。

 

百貨店がコスト削減するべき理由

現在、百貨店を取り巻く経営環境はとても厳しいものであります。少子高齢化による需要減や、ECサイトの台頭や専門店の増加は、1店舗ですべてが高いクオリティでそろう百貨店の立場を危うくしています。百貨店が今後も生き残っていくために様々な工夫やチャレンジを行っていると思いますが、そんななか見落としがちな施策がコスト削減です。当たり前のようで実は適正化できていないのがコスト削減です。今一度このコラムを参考にコスト削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。

百貨店でコスト削減するために必要な最初のステップ

最初のステップは自社が年間で何にいくら支払っているのかを全体把握し、どの費用を削減すべきかを決めること、つまり「事前分析」が大切です。やみくもにコスト削減することは売上低下を招く危険性すらあります。まずは自社のコスト構造の全体把握を行いましょう。

全体把握をする方法としては総勘定元帳を活用して分析してみましょう。全社の支払いデータを一括で確認できるメリットがあり、総勘定元帳をデータの加工をすることでコスト構造の全体像を把握することが出来ます。

コスト削減の見直し優先順位が高いものとは、市況トレンドが下落傾向にある費用・年間支払額の大きいもの・取引先との契約更新タイミングが近いものなどが考えられます。そういったコスト削減に取り組む優先順位の高いものから着手することは、効果を体感するという点からも重要となります。まずは最優先費用を探し出し着手していきましょう。

百貨店経営にかかる2つのコスト 「固定費」と「変動費」

百貨店に限らず、企業経営には2つのコストがかかります。百貨店は高品質な商品とサービスを提供するという業態特性があるため、固定費が高くなる傾向にあります。それでは2つのコストについて見ていきましょう。

1. 百貨店の「固定費」とは?

固定費とは、家賃や地代、人件費のように売り上げやお客様の数に関係なく事業活動に必ずかかる費用のことです。売上の上下に関係なく掛かるため、売上が上がっているときには金額として目に付きづらいですが、一定の金額を払い続けているためコスト削減の効果は高いと言えます。百貨店は変動費に比べ固定費が高くなる傾向にあり、売り上げ減に対する影響を強く受けるため固定費の見直しは重要と言えます。

2. 百貨店の「変動費」とは?

変動費とは、宣伝広告費から商品の梱包材や配送料のようにお客様の数によって変動する費用のことです。売上を増やすために必要な費用のため、売上に応じて変動費も変わっていきます。売上が大幅に増えれば変動費も大幅に増えます。金額よりも割合に視点を置き、削減可能かを見極める必要があります。

百貨店のコスト削減における注意点

百貨店におけるコスト削減について、十分に注意しなければならない点があります。それは顧客に対するサービスの質を落とさないという点です。例えば清掃の簡略化による店内の汚れや、人件費削減によってお客様への対応の質が低下してしまっては本末転倒です。顧客満足度が下がることによりリピート率が下がってしまったり、インターネットでの口コミで悪い評判が立ってしまったり、売上そのものに影響を与える可能性があります。コスト削減に囚われるあまり、本来必要な部分の費用を無理に削減しないように十分注意しましょう。

百貨店における7つのコスト削減アイデア

コスト削減できる費用は多く存在しますが、ここではその中から7つをご紹介します。自社でも取り組める内容となっていますので、まずは出来ることから取り組んでいきましょう

1.人件費

人件費とは、従業員を雇用することによって発生する費用です。人件費の削減は社員のモチベーション低下に直結する恐れがあることから、慎重に進める必要があります。

  • アウトソーシングを活用する
    ポイント:アウトソーシングできる業務を洗い出し、業務委託費用と人件費で比較する
  • ノウハウを共有し作業の効率化を図る
    ポイント:ミスや成功の状況や原因、それに対する対策をデータベース化して共有する
  • 会議やミーティングの削減・効率化を図る
    ポイント:社員、アルバイトの拘束時間を時間換算し、不要な会議やミーティングは辞め、効率的に進行できるように事前に準備や出席者との共有を行う

2.エネルギー費(電気)

エネルギー費にはガス代も含まれますが、ここでは企業において使用が多く、コスト削減効果の高い電気代について取り上げます。使用量を削減する方法と、契約している電力会社やプランの切り替えによりコスト削減する方法があります。

  • ロビー、ホール、事務室等、部屋・場所に応じた温度を設定する。
    ポイント:空調場所、部屋の用途に応じた適切な空調温度に設定し無駄な運転を防止する。
  • LED照明を導入する
    ポイント:白熱電球に比べ電力の利用効率が高く、例えば「白熱電球60W型に相当する明るさ」というLED電球の消費電力は10W程度である
  • 電気料金の支払い方法を見直す
    ポイント:口座振替にすることで割引が適用される場合がある

3.POSレジ

POS保守費用は比較的マイナーな費目として見過ごされがちですが、1店舗に難題もPOSレジを設置して全国に店舗展開しているような企業では年間でかなりの額を支払っているはずです。例えば、フルメンテナンス契約とスポット保守契約を比較検討することで保守費用の削減ができる可能性があります。

  • 保守契約が割高になっていないかを確認し契約を見直す
    ポイント:障害発生の実績を調べ、保守サービス会社の負担の試算と比較することで割高になっていないかを確認できる
  • フルメンテナンス契約とスポット契約で削減できるかを比較検討する。
    ポイント:保守会社側は利幅を確保できるフルメンテナンス契約を進めてくることを念頭に置く
  • スポット契約の場合、損害保険会社の動産総合保険を検討する
    ポイント:POSメーカー以外でも保守をカバーできるサービスがあり競争力をもっている

4.支払手数料(クレジットカード手数料)

支払手数料とは、金融機関の振込手数料、弁護士や会計士等の外部の専門家に対する報酬や、不動産業者に支払う仲介手数料を指します。ここではクレジットカード手数料の削減について取り上げます。

  • クレジットカード会社各社に、料率の削減交渉を行う
    ポイント:クレジットカード利用総額と業種、与信等で料率は設定されるが、協議によって下げることは可能
  • 料率の高いクレジットカード会社のカード利用頻度を減らす
    ポイント:料率の低いカードのステッカーをより見やすい位置に貼る。
  • 料率の高いクレジットカード会社のカードは解約する
    ポイント:解約時の影響(当該カードを利用している既存顧客層への影響等)をよく精査する必要がある

5.警備費

警備費とは、警備会社に学校の警備を委託する場合にかかる費用を指します。警備費は業種によって必要となる警備のレベルが異なり自社に最適な警備体制を決定することが重要となります。

  • 警備員の人数、時間が過剰でないかを確認し、過剰であれば削減する
    ポイント:他の校舎や同業他社の状況と見比べ、過剰な場合はやめる
  • 可能な限り機械警備に切り替え、警備員の人数を削減する
    ポイント:初期投資が掛かるが、警備システムの導入により防犯度も高められる
  • 複数拠点を有している場合は、警備会社を可能な限り統一する
    ポイント:統一することでボリュームディスカウントによるメリットを創出する

6.清掃費

清掃費とは、清掃業者に自社の清掃を委託する場合にかかる費用を指します。清掃費は、どの範囲を業者に委託するかでコストが大きく変わります。自社に最適な体制を決定することが重要となります。

  • 既存の業者に価格交渉を行う
    ポイント:単純な価格交渉だけでなく、清掃内容を見直すことで価格交渉余地があるか探ることが出来る
  • 効率の悪い作業や過剰な人員の配置が行われていないか、勤務実態の確認を行う
    ポイント:古い清掃方法で作業していることにより、効率が悪い作業が行われている場合がある
  • 清掃仕様書を確認し、清掃の頻度・内容が過剰でないか精査し、過剰仕様を削減する
    ポイント:他の支店等とも見比べ、不要なものはできるだけやめる。社員でできる清掃は実施しない

7.広告・宣伝費

広告宣伝費とは、商品やサービス、会社などを広く一般に売り込むための広告や宣伝、販促等にかかる費用のことを指します。代理店手数料や無駄な広告を減らす施策が効果的であり抜本的に見直すならばROIの視点も重要になってきます。

  • チラシやDM、POPの印刷費を削減する
    ポイント:格安な印刷会社に入稿し、印刷費を削減する。フルカラーから2色刷りに変更する
  • ソーシャルメディアを活用する
    ポイント:FacebookやX(旧Twitter)、LINEなどを利用しネットでの拡散を図る
  • 広告宣伝費の効果測定を行う
    ポイント:投資効率を用いて、広告宣伝費による効果があるかを検証する

ノンコア業務のアウトソーシング

人材不足・人手不足を補うためにはアウトソーシングを有効的に活用しましょう。活用方法としてノンコア業務のアウトソーシングがお勧めです。その理由は、ノンコア業務をアウトソーシングすることで、自社の優秀な人材にはコア業務や新規事業に専念させることできるため、売上UPや経営改善を望めるからです。また、間接材のコスト削減は外部の専門家に依頼することで自社にて取り組むよりも大きな成果を得ることが可能だからです。

人件費は企業の経費の中で特に大きな比率を占める費用です。コスト削減を取り組むときに最初に目につく費用と言えますが、安易に人件費を削減することは会社全体の事業活動に影響し、売り上げを減らしてします可能性すらある費用のため削減が大変難しいと考えられます。そこでアウトソーシングを活用することでも人件費を抑えることを検討するのはいかがでしょうか。

まとめ              

百貨店で取り組むコスト削減手法についてご紹介しました。自社のコスト構造を把握した上でコストを適正化することで営業利益数%もの効果を得ることさえ可能です。ぜひ自社にあったコスト削減を実施してみてください。

また、同じ百貨店業界の企業様である株式会社高知大丸様のご支援させていただいた際にインタビュー記事も以下に公開しております。弊社の支援に対しお喜びのお声をいただいております。ぜひご参考になさってください。

<クライアントインタビュー/株式会社高知大丸様>

ご紹介した費用以外の削減についてもそれぞれの費用の特徴にあった削減方法が存在します。プロレド・パートナーズで自社でのコスト削減に役立つガイドラインを無料でダウンロードできる資料をご用意しておりますのでぜひご覧ください。プロレド・パートナーズでは企業様の間接材コストの削減を専門にご支援しております。自社で取り組んでみたがあまり効果が出なかった、一度取り組んだが継続できていないなどのお悩みをお持ちの方はお気軽にご相談ください。

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