コストマネジメント

飲食店で今すぐ取り組むべきコスト削減のアイデアを紹介!

飲食店の経営において「コスト削減」することは「売上を増加させる」ことと同様に大変重要です。抜本的にコストを削減することで支出を減らすことによって、営業利益ベースで数%の利益率を改善する事すら可能です。

コスト削減の手法は一定の形があり、その手法にそって取り組めば効率的に効果を得ることが出来ます。そういう意味では売上を増加させることよりも効果を上げやすいと言えるでしょう。ぜひこの記事を参考に飲食店のコスト削減に取り組み、利益率を高めていきましょう。

コストマネジメントのお悩みを解決したい方へ

プロレド・パートナーズでは、コストマネジメントのコンサルティングを承ります。 自社の現状把握や、実行支援をご検討される際にはお気軽にご相談ください。

 

飲食店がコスト削減するべき理由

食材価格や人件費の高騰や安全基準の厳格化など飲食店経営を取り巻く環境は厳しいものとなっています。また、コロナによってデリバリーサービスの需要が増えたことによって飲食店も対応に追われ負担となっている場合もあるでしょう。

飲食店が今後も生き残っていくために様々な工夫やチャレンジを行っていると思いますが、そんななか見落としがちな施策、取り組んでいたとしても実は適正化できていないのがコスト削減です。今一度このコラムを参考にして、コストについて見直してみてはいかがでしょうか。

飲食店でコスト削減するために必要な最初のステップ

コスト削減の最初のステップは自社が年間で何にいくら支払っているのかを全体把握することです。そして、どの費用を削減すべきかを決めるための「事前分析」が大切です。目に付いたものからコスト削減を行ってしまうとそれが原因で売上低下を招いてしまった、ということにもなりかねません。

まずは自社のコスト構造の全体把握をして、削減すべきコストを見つけましょう。全体把握をする方法としては総勘定元帳を活用方法があります。全社の支払いデータを一括で確認できるメリットがあり、総勘定元帳をデータの加工をすることでコスト構造の全体像を把握・分析することが出来ます。

優先順位が高いものは、市況トレンドが下落傾向にあるもの・年間支払額の大きい費用・取引先との契約更新タイミングが近いものなどです。優先順位の高いものから着手することは、コスト削減を実現し会社全体に広げていくという点からも重要となります。まずは最優先にコスト削減に取り組むべき費用を探し出し、コスト削減を実現していきましょう。

飲食店経営にかかる2つのコスト 「固定費」と「変動費」

飲食店に限らず、企業経営には「固定費」と「変動費」と呼ばれる2つのコストがかかります。飲食店は食材の仕入れにかかる原材料費や人件費が高くなる傾向にあります。2つのコストの特性を掴みコスト構造が適正であるかを見極めましょう。

では2つのコストについて見ていきます。

1. 飲食店の「固定費」とは?

固定費とは、家賃や地代、のように売り上げやお客様の数に関係なく事業活動に必ずかかる費用のことです。売上の上下に関係なく掛かるため、売上が増えているときには金額として目に付きづらいですが、一定の金額を払い続けているためコスト削減の効果は高いと言えます。

2. 飲食店の「変動費」とは?

変動費とは、食材の仕入れ代や人件費、宣伝広告費のようにお売り上げの増減によって変動する費用のことです。売上を増やすために必要な費用のため、売上に応じて変動費も変わっていきます。売上が大幅に増えれば変動費も大幅に増えます。金額よりも割合に視点を置き、削減可能かを見極める必要があります。特に飲食店では食材の仕入れ代と人件費がコストの多くを占めるため、FLコストを確認することが大切です。

FLコストとは食材(FOOD)と人件費(Labor)を合計したコストのことです。これに家賃(Rent)を足してFLRコストという場合もあります。FLコストを売上高で割った金額をFL比率と呼び、飲食店の経費の目安とし60%未満にすべきとされています。(家賃を含めたFLR比率の場合は70%未満が良いとされています)

FL比率=食材費+人件費÷売上高

まずは、自社のFL比率を計算してみるのが良いでしょう。

飲食店のコスト削減における注意点

飲食店のコスト削減において注意すべき点もご紹介します。それは顧客に対するサービスの質を落としてしまう費用を削減しないように注意すべきという点です。

例えば店内清掃の費用を削減したことによる清潔感の低下や、人件費削減によって店内のオペレーションが悪化しお客様への対応の質が低下してしまうとお客様の来店意欲をそぐ結果にもなりかねません。顧客満足度が下がることによりインターネットでの口コミで悪い評判が立ってしまう危険性や来店数自体が低下し、売上に悪い影響を与える可能性すらあります。

コスト削減に囚われるあまり、売上を増やすために必要な費用について、コストの面だけに囚われ無理に削減しないように十分注意しましょう。

飲食店における7つのコスト削減アイデア

コスト削減できる費用は多く存在しますが、ここではその中から7つをご紹介します。自社でも取り組める内容となっていますので、まずは出来ることから取り組んでいきましょう

1.FC店舗分の集約によるボリュームディスカウント

FC(フランチャイズ)の場合に、各店舗オーナーに任せてしまっていることも多いかと思いますが、FC展開している場合でも購買体制の見直しによってボリュームディスカウントが可能になる場合があります。

  • FCの取引先企業に対して本社で契約書や取引条件を取りまとめている場合

→既にディスカウント効果を利用できているはずです。引き続き本社から直接取引先と協議することでより良い条件を引き出しましょう。

  • FC店舗がそれぞれ個別に取引先企業と直接契約&支払いをしている場合

→この場合は、もう一段階踏み込んだアプローチをすることでコスト削減できる可能性があります。理想的なアプローチは本社側でFC店舗と取引先企業間の契約を取りまとめる方法です。こちらが難しい場合は、基準となる条件交渉のみを本社側で主導する方法も検討してみましょう。全社の総取引金額をベースに協議することでより良い条件を引き出しましょう。ただし後者の場合はFC側のみ財務的なメリットが発生します。

2.人件費

人件費とは、従業員を雇用することによって発生する費用です。人件費の削減は社員のモチベーション低下に直結する恐れがあることから、慎重に進める必要があります。

  • アウトソーシングを活用する
    ポイント:アウトソーシングできる業務を洗い出し、業務委託費用と人件費で比較する
  • ノウハウを共有し作業の効率化を図る
    ポイント:ミスや成功の状況や原因、それに対する対策をデータベース化して共有する

  • 会議やミーティングの削減・効率化を図る
    ポイント:社員、アルバイトの拘束時間を時間換算し、不要な会議やミーティングは辞め、効率的に進行できるように事前に準備や出席者との共有を行う

3.エネルギー費(電気)

エネルギー費にはガス代も含まれますが、ここでは企業において使用が多く、コスト削減効果の高い電気代について取り上げます。使用量を削減する方法と、契約している電力会社やプランの切り替えによりコスト削減する方法があります。

  • ロビー、ホール、事務室等、部屋・場所に応じた温度を設定する。
    ポイント:空調場所、部屋の用途に応じた適切な空調温度に設定し無駄な運転を防止する。
  • LED照明を導入する
    ポイント:白熱電球に比べ電力の利用効率が高く、例えば「白熱電球60W型に相当する明るさ」というLED電球の消費電力は10W程度である
  • 電気料金の支払い方法を見直す
    ポイント:口座振替にすることで割引が適用される場合がある

4.POSレジ

POS保守費用は比較的マイナーな費目として見過ごされがちですが、1店舗に何台もPOSレジを設置して全国に店舗展開しているような企業では年間でかなりの額を支払っているはずです。例えば、フルメンテナンス契約とスポット保守契約を比較検討することで保守費用の削減ができる可能性があります。

  • 保守契約が割高になっていないかを確認し契約を見直す
    ポイント:障害発生の実績を調べ、保守サービス会社の負担の試算と比較することで割高になっていないかを確認できる
  • フルメンテナンス契約とスポット契約で削減できるかを比較検討する
    ポイント:保守会社側は利幅を確保できるフルメンテナンス契約を進めてくることを念頭に置く
  • スポット契約の場合、損害保険会社の動産総合保険を検討する
    ポイント:POSメーカー以外でも保守をカバーできるサービスがあり競争力をもっている

5.支払手数料(クレジットカード手数料)

支払手数料とは、金融機関の振込手数料、弁護士や会計士等の外部の専門家に対する報酬や、不動産業者に支払う仲介手数料を指します。ここではクレジットカード手数料の削減について取り上げます。

  • クレジットカード会社各社に、料率の削減交渉を行う
    ポイント:クレジットカード利用総額と業種、与信等で料率は設定されるが、協議によって下げることは可能
  • 料率の高いクレジットカード会社のカード利用頻度を減らす
    ポイント:料率の低いカードのステッカーをより見やすい位置に貼る。
  • 料率の高いクレジットカード会社のカードは解約する
    ポイント:解約時の影響(当該カードを利用している既存顧客層への影響等)をよく精査する必要がある

6.清掃費

清掃費とは、清掃業者に自社の清掃を委託する場合にかかる費用を指します。清掃費は、どの範囲を業者に委託するかでコストが大きく変わります。自社に最適な体制を決定することが重要となります。

  • 既存の業者に価格交渉を行う
    ポイント:単純な価格交渉だけでなく、清掃内容を見直すことで価格交渉余地があるか探ることが出来る
  • 効率の悪い作業や過剰な人員の配置が行われていないか、勤務実態の確認を行う
    ポイント:古い清掃方法で作業していることにより、効率が悪い作業が行われている場合がある
  • 清掃仕様書を確認し、清掃の頻度・内容が過剰でないか精査し、過剰仕様を削減する
    ポイント:他の支店等とも見比べ、不要なものはできるだけやめる。社員でできる清掃は実施しない

7.広告・宣伝費

広告宣伝費とは、商品やサービス、会社などを広く一般に売り込むための広告や宣伝、販促等にかかる費用のことを指します。代理店手数料や無駄な広告を減らす施策が効果的であり抜本的に見直すならばROIの視点も重要になってきます。

  • チラシやDM、POPの印刷費を削減する
    ポイント:格安な印刷会社に入稿し、印刷費を削減する。フルカラーから2色刷りに変更する
  • ソーシャルメディアを活用する
    ポイント:FacebookやX(旧Twitter)、LINEなどを利用しネットでの拡散を図る
  • 広告宣伝費の効果測定を行う
    ポイント:投資効率を用いて、広告宣伝費による効果があるかを検証する

ノンコア業務のアウトソーシング

先述の通り、人件費の削減は十分な注意が必要な費目です。しかし、人件費は経費の中で大きな比率を占めるため、コスト削減を考えた際に最初に目に付く費目でもあります。繰り返しになりますが、人件費を安易に削減することは会社全体の事業活動に影響するため削減が大変難しい費用といえます。

そこで人件費を抑える一つの案としてアウトソーシングを活用するという方法があります。コスト削減と共に人材不足・人手不足を補うためにはアウトソーシングを有効的に活用しましょう。活用方法の一つとしてノンコア業務のアウトソーシングをお勧めです。それは、ノンコア業務をアウトソーシングすることで、自社の優秀な人材にはコア業務や新規事業に専念させ、事業拡大や売上増加、経営改善を推し進めていくことが可能だからです。

まとめ              

飲食店で取り組むコスト削減手法についてご紹介しました。ご紹介した費用以外の削減についてもそれぞれの費用の特徴にあった削減方法が存在します。自社でのコスト削減に役立つガイドラインを無料でダウンロードできる資料をご用意しておりますのでぜひご覧ください。

プロレド・パートナーズでは人件費と研究開発費を除くコストを間接材コストと名付け、間接材コストの削減を専門に取り組んでおります。自社でコスト削減に取り組んだが行き詰っている、そもそも何から始めていいかわからないなどのお悩みをお持ちの方はお気軽にご相談ください。

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