ビジネスの場面で使われる「コスト」という言葉は、元々商品の生産に必要な費用=原価のことを指していました。しかし昨今では金額面だけでなく、企業の有する人やモノ、また情報や時間といった無形資産を含む、経営リソースからの「支出」全般を表す場面が増えています。業種、業界、企業規模、経営状態等にかかわらず、自社のコスト状況を正しく理解すれば、市場変動の影響を受けにくい健全な財務体質を形成することが可能です。
この記事では「コスト削減」と「コスト最適化」の違いを説明するとともに、企業の収益性改善や業務効率化と「コスト最適化」にどんな関係性があるのかを詳しく解説していきます。
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プロレド・パートナーズでは、コストマネジメントのコンサルティングを承ります。 自社の現状把握や、実行支援をご検討される際にはお気軽にご相談ください。
コスト最適化とは?コスト削減との違い
コスト最適化とは、事業への投資とその結果の最適なバランスを探ることを目的とします。具体的には、自社のターゲット層に対して過剰品質すぎないか、または出資額を抑えようとするあまり品質や顧客満足度まで低下させていないか等、費用対効果の点からコストの「要/不要」を判断していきます。
コスト削減との最大の違いは「予算の上限を決めて日々管理する」「全社的に支出を減らす」といったような金額面の管理だけでなく、出資に対する「効果」である品質や顧客満足度、投資の機会も重視している点です。
たとえば、とある市場が伸長しているにもかかわらず、予算上限の都合で投資が行われなければ、その企業がその分野での牽引企業になったり、企業規模が成長したりといった「機会」を損失したと言えるでしょう。このように、結果=収益を得られる場面では、むしろ積極的に出資することもあるため、コスト削減ではなく「コスト最適化」と呼ぶ方が適していると考えられます。
コスト最適化の考え方と実現までのステップ
では実際に自社内でコスト最適化を推進していくには、どのような方針・手順が必要なのでしょうか。先ほどの例でご説明したように、コスト最適化では企業や事業に伸長のチャンスがある場合、むしろ投資を行う=支出を増やすこともあり得ます。こういった判断のベースには明確な経営目標や事業方針があり、すべてのコストの要/不要はこの指針をもとに判断されているのです。そのため、コスト最適化実現に際して最も重要なポイントは「企業の方針・目標を明確に定める」ことと言えるでしょう。
具体的なステップについては以下のとおりです。
①経営目標や事業方針等、これからどうなっていきたいかを明確にする
俗に「決算書」と呼ばれる「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」「キャッシュフロー計算書(C/F)」を作成している場合は、過去数年分を比較し、今までどういった事業に投資してきたのか、現在最も注力しているのはどの分野か等を確認してみると良いでしょう。また明確な計画を立てるために、自社製品・サービスを取り巻く市場・環境の現状について、あらためて調査しておくことも必要です。
②現在契約・加入しているプランの契約書や領収書を集める
オフィスの賃貸借契約書、社員が所持する社用スマホの契約書、電気代の領収書等、自社が「今・どこに・どれくらいの費用を払っているのか」が分かる書類を集めます。ここ数年で企業規模が変化したにもかかわらずずっと同じプランに加入している場合や、当時の担当者が不在で契約の経緯が分からない場合等は、今の業態にフィットしているか注意しながら再確認しましょう。
③実態を調査し、コストを分類する
コスト最適化においては、やみくもに支出額を抑えようとすることが正しいとは言えません。たとえば電気代のプランは加入当時のままになっていないか、社員のほとんどが必要としていないスマホプランに加入していないかといった、自社の実態をまずきちんと調べることが重要です。そのうえで、過剰に支出している可能性があるものは見直しを進め、本来投資すべき箇所を明確にしていきます。
コストはそれぞれ「経営方針を達成するために必要/不要」「個人の決裁で遂行できる/全社的な協力が要る」「短期/長期の取り組みで結果が出る」といった観点から分類することができます。「直接費用/間接費用」という視点からコストを把握するには、以下のコラムをご覧ください。
④全社に通達して、コストの見直しと最適化に取り組む
一般的には、コストの削減額が大きいほど、影響を受ける範囲も広くなります。社員はもちろん、社外・取引先に影響が出る場合は必ず全社的・対外的に通達しましょう。
また、特に影響が出ない場合でも、経営層が中心となって積極的にコスト見直しを行っている姿勢そのものが、社員のモチベーションやステークホルダーからの信頼につながることがあります。経営目標や事業方針とあわせて取り組みの内容を通達することでより理解が深まります。
まとめ
日々市場や環境が変化していくように、コストもつねに変動を続けています。一度コストを最適化したとしても、数年後もそれが自社に適しているとは限りません。また、自社の支払うコストが適正価格になっているかを判断するためには、市場のトレンドや新設される法令、業界の慣例に対する理解等、専門的な知識が必要な場合もあります。
プロレド・パートナーズでは50費目以上の間接費に専門のコンサルタントを配置し、今回ご紹介した「コスト最適化」の観点から、様々な業界・業種の企業様をご支援してきました。コスト最適化をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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