SCM/物流

路線便とは?荷主に最適な利用方法とメリット・デメリットを詳しく解説

物流における輸送方法のひとつに「路線便」があります。路線便は複数の荷主の荷物を1台のトラックに混載して輸送する宅配便に並ぶメジャーな輸送方法の一つで、コスト面で多くのメリットがあります。

今回の記事では、路線便の概要や他の輸送手段との違い、路線便のメリットとデメリットについて解説します。路線便を活用した輸送の効率化や最適化にぜひ役立ててください。

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路線便とは

路線便とは、配送車両が決まった拠点と配送ルートを経由し荷物を運ぶ、貨物自動車運送事業の中の輸送方法のひとつです。路線便の特徴や仕組みについて解説します。

路線便の特徴

路線便は、「一般貨物自動車運送事業」の「特別積合せ貨物運送」に該当します。具体的には、複数の出荷人の荷物を、同一の自動車(三輪以上の自動車やバイクを除く)を利用し有償にて運ぶ貨物の運送方法のことです。複数の荷物を同じトラックに乗せることから「混載便」とも呼ばれています。

主な輸送ボリュームは、宅配便のサイズ規定を超える30Kgから、2,000Kgまでとなります。路線便は、拠点経由の法人向けの輸送方法、少量の荷物を輸送する場合のコストが安いといった特徴があります。

なお、路線便に対して単一の出荷人のみの輸送を行う事業を「特定貨物自動車運送事業」と言います。

路線便と宅配便、チャーター便との違い

路線便と似た輸送方法に、「宅配便」があります。それぞれの輸送方法の違いを順に解説します。

宅配便と路線便は輸送スキームが似ていますが、異なる点が多くあります。

 路線便宅配便
スキームハブ&スポークを利用した混載輸送(*1)
ボリューム上限2,000Kg/件30Kg/個
配送先BtoBBtoB、BtoC、CtoC(*2)
荷姿カートン、パレット、カゴ台車カートン
リードタイム宅配と比較し、半日程度長い最短
(チャーター便に近い)
時間指定午前 or 午後午前、午後、夜間
(午後以降は数時間ごと)
価格安価安価
(路線と比較し若干割高)
料金体系タリフ表(輸送重量 x 距離)
+割増/割引料金
(燃油サーチャージ等)
タリフ表(サイズ x 地域)
*1:ハブ&スポーク:大規模拠点(ハブ)に貨物を集中させ、長距離での幹線輸送を行います。その後、大規模拠点から各エリア拠点(スポーク)へ分散させて、集配業務を行います。
*2:BtoB:企業から企業、BtoC:企業から個人(ECなど)、CtoC:個人から個人

チャーター便とは、自動車(トラック)1台を貸し切り、依頼主以外の荷物は積まず輸送する手段で、基本的な輸送スキームが異なります。

チャーター便については以下コラムで解説しています。

路線便の仕組み

路線便の運行方法やスケジュール、集荷から配送までの流れについて解説します。

路線便の運行方法とスケジュール

路線便では「ハブ&スポーク」と呼ばれる輸送手段が用いられています。拠点から目的地まで直接輸送を行うのではなく、中継地点を挟むのが特徴です。

まず拠点に複数の荷受人の荷物を集め、1台のトラックに積み輸送します。拠点には出荷人自身が自身荷物を持ち込むか、運送事業者が集荷するかで荷物が集められます。

拠点に集まった集まった荷物は、目的地の方面別に仕分けをして、近隣の中継拠点へ輸送されます。中継拠点で再度仕分けを行い、目的地近くの中間拠点へ向かいます。到着後、より詳細な行き先別に仕分けされ、配送先に届けられます。

荷物の集荷から配送までの流れ

路線便の集荷から配送までの流れを以下にまとめました。

  1. 拠点Aに持ち込みや集荷により荷物を集約
  2. 拠点Aで商品を目的地エリア別に仕分け
  3. 拠点Aから拠点B(中間拠点)へ輸送
  4. 拠点B(中間拠点)にて再度仕分け
  5. 拠点B(中間拠点)から、目的地近くの拠点C(中継拠点)へ輸送
  6. 拠点Cで商品を詳細な配送エリアごとに仕分け
  7. 拠点Cからお届け先へ配送

路線便に適した荷物の種類や利用シーン

路線便は、以下の荷物やシーンでの輸送に適しています。

  • 小ロット配送
  • 定型品
  • リードタイムが長め

路線便は小ロットを低コストで輸送できる手段である一方、特別な取り扱いが必要な品物や特定日時指定配送には向いていません。小口の定型品を、コストを抑えつつ配送したいときに適した輸送方法と言えるでしょう。

路線便のメリット

路線便にはほかの輸送手段にはないさまざまなメリットがあります。路線便の強みやメリットを順に解説します。

コスト削減の可能性がある

路線便の料金は、荷物の重量やサイズで決定します。さらに複数の荷主とトラックをシェアするため、チャーター便のようにトラック1台を貸し切る必要もありません。小口の商品を大量に輸送する場合、路線便を使用することで輸送コストを削減できる可能性が高くなります。

また、ある程度まとまった量(宅配便のカートン3個以上)があれば、宅配便より割安となる可能性があります。

環境負荷の軽減

路線便は複数の荷主とトラックをシェアして輸送をします。1台トラックを貸し切るチャーター便は、積載する荷物の量やサイズによっては、空きスペースが生じてしまいます。

トラック1台分に無駄なく荷物を積載することで、輸送に使用するトラックの台数も削減できます。その結果トラックのCO2排出量の削減にもつながり、環境負荷への軽減にも寄与するでしょう。

長距離輸送を低コストで実現できる

大手運送会社の路線便は物流センターや事業所など、多くの配送拠点を所持しています。小ロットの荷物でも、低コストで日本全国のさまざまな地域への輸送が可能です。依頼をした運送会社が拠点を持っていない地域も、他の運送会社と提携している場合は配送に対応しています。

路線便のデメリット

路線便には多くのメリットがあるものの、荷物の種類やシーンによっては路線便以外の手段を取った方が良い場合もあります。路線便とほかの輸送方法と比較する場合に知っておきたい、路線便のデメリットを解説します。

納期の柔軟性が低い

路線便は、チャーター便や宅配便と比較し、配送リードタイムが長くなるのがデメリットです。また、あらかじめ決められた配送スケジュールによって輸送が行われるため、一般的に集荷や配達の時間指定は受け付けていません。急ぎの荷物や指定日時のある荷物には向いていないと言えます。

荷物の損傷リスク

路線便は、複数の荷主の荷物を同一のトラックに積み込みます。そのため、荷物同士が輸送中や仕分け時に接触しやすく、チャーター便よりも破損や損傷のリスクが高くなります。壊れやすいものなど取り扱いに注意が必要な荷物は、路線便には向いていないと言えるでしょう。

路線便を上手に利用するためのポイント

路線便を上手に活用するためのポイントを順に解説します。                     

路線便に適した出荷とは

路線便の特徴やメリットから、以下のような荷物の出荷に適しています。

  • 企業向け小ロット(3個以上)
  • 宅配便で対応できない荷物
  • 納期に余裕がある、時間指定がない
  • 破損のリスクが低い荷物

路線便の最適な契約方法とは

路線便を契約する際には、大きく2つの方法があります。

  • 方面別で委託先を分ける(路線便業者は得意なエリアがある)
  • 全国一律で1社に委託する

まとめ

この記事では、路線便の概要、仕組み、他の輸送手段との違い、メリット・デメリットについて解説しました。路線便は、コスト削減や環境負荷の軽減、小ロットでの長距離輸送に適した効率的な輸送手段である一方、納期の柔軟性や荷物損傷リスクなどのデメリットも存在します。これらの特徴を理解し、出荷内容や配送ニーズに応じた最適な利用方法を検討することが重要です。

物流コスト削減や効率化の手段として路線便の導入は一つの有効策ですが、業務の特性やニーズによって最適な輸送手段は異なります。プロレド・パートナーズでは、企業の物流課題を的確に把握し、路線便を含めた最適な輸送モードの選定と導入サポートを一貫して提供しています。環境への配慮や効率的な配送体制の構築がますます求められる今、路線便を賢く活用し、競争力のある物流体制を築くお手伝いをいたします。

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