コストマネジメント

PMIとは?目的や具体的な内容、フローを詳しく解説

PMIとは「Post Merger Integration」の略語で、特に企業の合併・買収(M&A)が成立した後、双方の企業が統合したことの効果を最大化させるためのプロセスを指します。M&Aでは企業同士が合意・契約を締結するまでに注目が集まりがちですが、実際にはM&A後のフォローアップやケアも、統合効果の向上に必要なステップです。

本コラムではPMIの目的や詳細、フローについて解説していきます。

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PMIの目的

なぜPMIが必要なのでしょうか。企業が統合する際にはメリットと同時に、様々なリスクも発生します。統合後の混乱から派生する様々なリスクとしては、提供するシステムの障害や製品・サービス品質の低下、ステークホルダーの信頼損失、業績悪化、顧客離れなどが考えられます。想定されるリスクに対して、あらかじめ準備・計画をおこなっておくことで最小限に抑えることが可能です。

上記をふまえ、実際にはM&Aの計画時点から、PMI実行推進チームの編成や計画策定が行なわれていることがほとんどです。PMIが見通す範囲は、経営理念のような大きなフレームから、統合後の実務、企業文化・風土のような小さなフレームまで、非常に膨大で多岐にわたります。

そのために必要な「3つの統合」と「100日プラン」について、次の項目で解説します。

PMIの具体的な内容

PMIでは大きく分けて、①経営、②業務、③社員の意識・信頼関係の、3つの統合を行っていきます。

①経営の統合

経営の統合とは、統合後の経営判断・上層部の意思決定にまつわる部分のことを指します。具体的には経営理念、ビジョン、役員人事、予算配分、人事評価、コーポレートガバナンス(管理体制)、会計制度、意思決定ルート等の見直し・再確認がこれにあたります。社内のみならず対外的にも重要な決定が多いので、スケジュールを組んで進めていくことが大切です。

②業務の統合

業務の統合とは、双方の社員が円滑に業務を進めていくために必要な部分のことを指しています。具体的には組織編制、部署・支店・拠点の配置、事業内容の再確認や、規則制度、福利厚生等の共通化、取引先・リードの共有、各種社用ツールの契約見直し等がこれにあたります。特に拠点配置や事業内容の再確認には、先述した「経営の統合」が欠かせません。

また同様に、この後に続く「社員の意識・信頼関係の統合」にも「業務の統合」が欠かせません。業務の統合は最も確認・変更事項が多く、各種手続き等が煩雑になることが予想されるので、あらかじめリスト化しておくとよいでしょう。

③社員の意識・信頼関係の統合

社員の意識・信頼関係の統合とは、両社の社員が1つの企業のメンバーとして互いを理解し合うために必要な部分を指します。具体的には、企業風土・文化に対する相互理解を促進するための、十分な説明の機会や社内イベント・企画等がこれに当たります。せっかく両社の強みを持ち寄れる土壌があるにもかかわらず、旧企業や派閥にとらわれて相互理解が進まなければ、M&Aの効果を十分に発揮できません。

経営の統合、業務の統合と進んできて、再度抽象的なテーマに戻るように感じるかもしれませんが、そもそも企業の統合は一朝一夕で終わるものではないと考えておくことが重要です。

PMIの手順

PMI推進は、基本合意書を締結してから始動することが一般的ですが、締結が終了した直後は同時にさまざまな調査・手続きが並行して行われているため、いきなり計画を立てたりチームを編成したりしようとしても難しいと考えられます。PMIの手順は大きく3段階に分かれますが、実際には前々からの準備や定期的なフォローが必要です。

①準備期間

M&Aの目的や達成・成功の定義を検討しながら、M&Aをどう進めていくのか決定していきます。時期的にはM&Aの初期検討段階にあたり、この時点で社内におけるPMI実行・推進チームを編成します。

②実行期間

時期的にはM&Aの基本合意書締結後~クロージング後6ヶ月ほどの、集中実施期を指します。実行期間初期では、M&Aクロージング後3~6ヶ月を目安にした実行計画「ランディングプラン(統合計画)」の策定や、同じくクロージング後100日を目安にした「100日プラン」の設定をおこなっていきます。

「ランディングプラン」には売り手企業、買い手企業の双方が関わりながら、経営体制や人事評価、ステークホルダーとの関係再構築といった、大きなフレームでの計画を検討します。また、「100日プラン」では、双方のシナジー創出方法の検討やコーポレートガバナンス(管理体制)の再構築等、中長期的な課題を整理、即座に実行に移せるよう進めます。

M&A後最初の四半期で効果を上げることを目的としていることから、「100日プラン」と呼ばれています。この段階では同時並行して「デューデリジェンス(買収監査)」が行なわれているため、計画時点で予測されていなかった懸念事項等が上がってきた場合は、計画に取り入れていくことも重要です。

③フォロー期間

M&Aと統合後の混雑がある程度落ち着いた後も、各種プランの進捗確認やトラブル・改善事項への対応は必要です。M&Aが完了した後もPMI実行推進チームは解散せず、定期的に効果検証やKPI測定を行いましょう。売り手企業と買い手企業の双方を集めて、M&A後6ヶ月や12か月のタイミングで振り返りをしてみるのも良いかもしれません。統合によるシナジー効果や企業価値をより向上させるために、どのような施策を実施できるのかを検討し、方針や計画の改善を図りましょう。

まとめ

元々は別の企業だった2つの会社がM&Aを通して1つになり、双方の強みを生かしてシナジーを創出するためには、事前の計画や準備、統合後の手厚いフォローが必要です。これからM&Aを予定・検討している方や、現在統合後のフォローを担当されている方に、この記事を参考にしていただければ幸いです。
しかし一方で、M&Aそのものにも多大な時間・工数・人手がかかるなかで、PMIに特化した専門のチームを設置することが難しい場合もあるかもしれません。

プロレド・パートナーズでは企業規模、業種・業界にかかわらず、様々な企業様に対して販管費や購買についてのご相談や、コスト削減のご支援をおこなってきました。M&A後のグループ間の購買統制等にも実績がありますので、お悩みや相談事項がある企業様はぜひお気軽にご相談ください。

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